クラフリ オーラムフェスティバル―コミックスポットライト
暁辰巳
プロローグ 秋の始まり
「もうすぐ君たちが楽しみにしていたオラフェスが始まる。
オラフェスに向けて今後の学校生活を頑張り、楽しみ、励みつつ。立派な生徒として、一人の人間として育ってほしい」
先生の言葉が終わり、気をつけ礼とあいさつを終えて、私たちは各々にクラスを後にしていく。
「一緒に帰ろう。レイ」
「うん。帰ろう、ハルカ」
もうすぐ開催されるオラフェスについてレイと話しながら寮へと帰っていく。
『オーラム・フェスティバル』は年に一度クラフト島で行われる秋の祭りで、秋が始まったことを記念して毎年開催されている。
小説や漫画などの同人誌、作曲したCDや自作したアニメなどを展示&販売したり、屋台に並んだ食事を堪能したりして楽しんだりする。その他、人気アイドルや
歌手のライブやパフォーマンスがおこなわれていて、毎年訪れた秋をみんなで楽しみながら迎えている。
島に住む多くの人々や外から沢山の人たちが
「―!」
「―レイ!」
下校途中、黒いセーラー服を着た右手に金属バッドを持ったスケバンが一人、私たちの前に姿を現した。
「よおよお。楽しそうに帰っている最中に悪いな、お二人とも」
「自ら姿を現すとは素直ですね。要件は何ですか」
「もうすぐオラフェスが始まるだろ。お前らはそのオラフェスが楽しみで楽しみで待ちきれない、そう思っているだろ?
だからなあ、アタイらからお前らに楽しみを送ってやるよ。“絶望″という楽しみをなあ!」
スケバンの叫びと共に、潜んでいた多くのスケバン達が一斉に姿を現した。スケバン達は私たちの周りを囲んだ。
「ハルカ、いつも通り、敵の動きの備えを」
「分かってる!」
レイの口から警告が出る前に、ハルカは既に警戒態勢に入っていた。
ハルカの言葉を聞いたレイは目の前の敵をただ倒すことだけを考え、敵に攻撃を始めた。
レイは次々と敵を倒し続け、ハルカは敵の攻撃に対処しながら身を守っていた。
「な!? 中々やるようだが、数ではアタイ達の方が圧倒的に上だあ! いつまで持ちこ耐えられるかな」
数の“量″では圧倒的に勝ってはいても、強さの“
「こ、こんなの……夢か何かだろ」
「残すは貴方だけです。さあ、どうしますか?」
腰を引いたリーダーは目の前の
たった二人だけな上、厄介な
「まさかここまで強いとは思っていなかったぜ。アタイはこいつらの親分だ。親分として、倒れていった子分たちの為に、一矢報いてやらねえとなぁ!!」
リーダーはそう叫びながらレイに向かってまっすぐに突進した。
自暴自棄に突進してくる敵の動きレイは待ち構えた。
だが、待ち構えた時に気づいてしまった。
ハルカの近くには、既に敵の残党が奇襲を仕掛けていることを。
ハルカはレイの方へ視線と意識を向けてしまっている為、周りに対する注意力を完全に忘れてしまっている。
「―!」
レイは急いでハルカの元へ向かう。
これこそがリーダーの狙いだった。
レイがハルカを守ることに専念してしまうことを読んでいたリーダーは、子分にハルカを奇襲させることで、レイの注意をハルカへ完全に向けさせる。
ハルカを完全に守りきることに専念するあまり、守りきった後でわずかばかりに“隙″が生まれる。その隙を突けばやられた子分たちの仇が取れるはずだと。
「レイ、後ろ!」
「―!」
「これでも喰らいな! このバケモノがああああ――あ!?」
リーダーがレイに奇襲を仕掛けようとした瞬間、どこからか飛んできた火の玉がリーダーに直撃した。
「まったく。大勢で揃いもそろってたった二人の少女に襲い掛かるからこうなるんだぜ」
「あれは!?」
一人の少女が平然と立っていた。
身長はレイより高く、深紅の長髪姿。燃え盛る炎のごとく、宝石のルビーのような綺麗な瞳。
「無事かい?お二人とも」
「はい。レイを助けてくれてありがとうございます」
「私の方も、助けてくれたことにありがとうございます」
「困った時はお互い様だ。偶然この現場に出くわしたから、助けただけだ」
「私、
「私の名前は御剣夏凛。人気漫画家、結城ほむらその人だ!」
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