春子の策

精霊魔術師エルクは右手を上げた。

「我は古の魔術師エルク。りらら、お前のオーラの流れを乱してやる」


りららの体に激痛がはしる。りららは、ふと春子の青いリボンをみた。


「大丈夫ですか!?りららさん!!」春子はいう。


りららは倒れ込んだ。そして言った。

「エルク。あなたの本当の姿は悪魔だ。だとしたらあなたには、一つ弱点がある」


「春子ちゃん、その青いリボンは春子ちゃんを心配する友達がくれたんだよね。

今その思いと、春子ちゃんの呪いと、とある男の子の思いと、私の最後のオーラの四つを混ぜる。こんなたいそうなもの悪魔なんかにこえられるわけない」


りららは立ち上がることができない。

「I'm always be a happy girl ! Don't cry ! You cry and I cry .」りららの体が輝きだした。


「これが私の最後の力、

春子ちゃんの友達のオーラを耳人形さんが増幅させて、

呪いを三尾さんが増幅させて、

あの男の子の愛を春子ちゃんが増幅させて、

そして私が今、エルクを封印する」


あたり一面に閃光が飛びかう。


エルクは悠然としている。

「りらら。並の使い手ではないな。ただし、私をこの魔法陣の上から動かさない限り私にはなにも精霊魔術はきかないよ」


「春子ちゃん、逃げて!」りららは叫んだ。


「りららさん、死なばもろともです!!」


「そんなばかなこと言っちゃだめ」


春子はひらめいた。「つまりは、精霊魔術師エルクをあの大きい魔法陣から(離せば)いいんですよね」


りららは「行っちゃだめ」といった。


春子はにこやかにいう。「だって名案浮かびました

りららさん、もう一度もっと強い技を使ってください」


りららはうなずいた。「信じるよ、春子ちゃん」


春子とりららの体が虹色の光に包まれる。


エルクは怪訝な顔をしている。「なにか謀ったな」


光はエルクをも包んだ。


「ものすごい力だ」


春子は叫んだ。「お前は永遠に宇宙の覇者だ。それを自覚しているか!?」


エルクは答えた。「まあ、そうだろう」


その瞬間、エルクの体が魔法陣の上から(浮いた)。


「何っ!?」


またたく間にエルクの体が光にかき消されていく。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る