忘却の果ての七夕まつり

「耐えていた。必死に。でも誰も見てくれない。気づいてくれない」春子は言った。


耳人形は、左の手のひらをみせた。


平安時代の夏の七夕まつりを春子に見せた。


「こんなに町ゆく人たちが、楽しそうにしている」


耳人形は、春子の目を見てうなずいた。


「よし、もう一回、生きます!」


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