第22話【儀式】発覚する真実
俺は儀式の代償を聞いて、少し恐怖を覚えつつもアロンのために儀式を始めることにした。
すると聞いていた通り、俺はその場から一歩も歩くことができなくなってしまった…更に追い打ちをかけるかのように儀式の試験が始まった。
『ツインヘッド・ゴーレム(真名:アロン)と儀式を開始した貴方に試験を課します。試験名は「絆の試練」です。貴方と対象の絆を試します。お互いのことを信頼していないと成功しないのでお気をつけてください。』
俺はその言葉を聞きながら、アロンのことを頭の中で思い浮かべていた。儀式のことを話してくれた人の話が正しいとするならば、ここでしっかりと思い浮かべることがいちばん大切だ!!
『ツインヘッド・ゴーレム(真名:アロン)の再現を行っています…再現度合い99.9%本来のステータスの99.9の力を引き出すことに成功しました。』
「なんとかこれで試験は突破できるのかな…というかどちらにせよステータスが99%下がってしまっているならほとんど意味なくないか?」
『いえ主様…ここではステータス減少の効果は適用されないようです。ステータス減少の効果や、主様の歩行不可の状態はあちらだけのようです。ここは意識だけが飛ばされてくる場所とでも言えるのでしょうか…』
「多分そうなんだろうな…それで、絆の試験と言っていたけどどうすれば良いんだ?単純に力を見せれば良いのか?」
『いえ。こちらでモンスターを用意するので完全に殺してください。モンスターは貴方達2人が思う一番の強敵…または、トラウマが再現されます。』
「一番の強敵ってことは…まさか!!」
俺の中で一番の強敵かつトラウマなのは…あのモンスターしか居ないじゃないか!!
『モンスターの再現に成功しました。このモンスターを5分以内に完全に殺してください。』
俺は地面に向けていた顔をそのモンスターの方に向けた。しかし、そこに居たのはモンスターではなく人間だった。
「どういう事だ?モンスターじゃないのか?」
『主様お気をつけてください!!あれは人間じゃありません!!今すぐに倒さないと危険です!!』
「わかった!!とりあえず強くなったお前の力を見せてやれ!!」
アロンはあの時からは考えられないほどに強くなった…相手が強くなっていたとしても、今のアロンにとっては対等以上に戦えるはずだ!!
「アロン一点に集中して衝撃波!!」
アロンに的確な指示を即時出せるようになったおかげで戦闘面でも随分と楽になった…アロンは衝撃波を出すと同時に距離を詰めて近接戦闘を始めた。
人間の姿をしている化け物は、衝撃波によって下半身が吹き飛んでしまった。そして抵抗する間もなく、アロンに両腕を引き裂かれてしまった。
俺は何故か抵抗をしない化け物に違和感を覚えつつも、一度アロンにこちらまで戻ってくるように指示を出した。アロンはやや不満げだったが、こういった時の俺の感は当たるんだ…
人間の姿をしている化け物は引き裂かれた両腕と下半身を再生してしまった。残り時間は1分30秒といったところだろうか…若干アロンには悪いと思うけど、追加で指示を出す。
「あのモンスターは、俺らにとっても危険だ。あいつが抵抗しなかった訳が知りたい。」
『同感です。あれ程の強さを持った化け物が私の攻撃を受けても抵抗しなかった訳…私が考えるに2つあります。1つ目はそもそも反応することが出来なかったという物です。そして2つ目は…私よりも強いから、やられても問題ないという余裕の現れなのではないでしょうか?』
「もし後者なら不味いな。アロン全力で行ってくれ!!」
『お任せください!!私も最近は衝撃波の使い方に慣れてきたんです!!新しい使い方を見せてあげますよ!!』
アロンは先程と同じ様に距離を詰める…そして拳を人間の姿をしている化け物に叩き込んだ…すると、化け物はその場から大きく吹き飛ばされてしまった。
「アロンそれは?」
『攻撃すると同時に衝撃波を飛ばせたら、ヒットバックさせられるかなって思いまして!!ついでにガードが硬い相手にも効果がありますから結構良いと思います!!』
衝撃波は体の内側…内臓にダメージを与えることも可能らしく、強いモンスターは結構な確率で持っていることがあるそうだ。
俺はこのまま押し切るべくアロンに指示を出した。
「同じ攻撃を何発も叩き込んでやれ!!徹底的に潰せ!!」
アロンは俺の指示に従って、拳を何発も叩き込んだ。残り時間は30秒を切っているが大丈夫だろうか…
数十発を叩き込むと、化け物は再生をすることができなくなったのか、徐々に体が崩壊していっている…俺は消えていく化け物に対して問いかけてみた。
「なぁ…どうして人間の姿をしているんだ?それだけ教えてくれ」
問いかけても答えてくれないだろうと思っていたが、なんと化け物はこちらに向かって喋りかけてきたのだ。
「ホントウノスガタハコレナンダ。」
「えっ?どういうこと?」
「ジカンガナイカラ手ミヂカ二ハナス。モトモトハニンゲンダッタオレハアルヒサラワレタンダ。」
攫われた?一体誰に…というか元々人間だった?
「モウハナスコトハデキナイカラ…アトハタノンダ」
そう言うと人間の姿をしている化け物は消えてしまった。そしてファンファーレとともに声が聞こえてきた。
『トラウマの克服おめでとうございます。貴方には特殊条件を満たしたため、こちらを受け取ってもらいます。』
俺に手渡されたのは、日記のようなものだった。
「これは?」
『彼の記憶が日誌に変化したものです。貴方によって彼は救済されました。』
俺は日誌を一度しまって、声の主に話しかける。
「それで?報酬はどうなるんだ?」
『まずは炎の色を紫にまで上げてあげるよ。今後とも是非頑張ってくれたまえ。それともう一つ、僕になんでもお願いできる権利をあげようじゃないか。』
「なんでも?」
「そう。人を殺してくれみたいのは受け付けてないけど、大抵のことだったら叶えてあげるよ。」
もし本当に叶えてくれるのなら…俺の願いはこれしかない!!
今日も見てくださりありがとうございます!!深夜には投稿するつもりなので是非来てくださいね!!
もしかしたら夕方に上げるかも知れませんけど…
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