第18話【他視点】財団への勧誘

「岸岡首相!!なぜこんなところにいるんですか!!」



「私がここにいる理由…それは、我々人間が頂点に立つ世界に戻すことさ!!君はこの世界になってから随分と良い待遇を受けてきたそうじゃないか…我々政治家にも命令することができる立場の人間が多いと困るのだよ!!」



「あんた何言ってるか分かってないの!?」



「君は知らないかも知れないけど、日本を含めた数カ国の国は財団と協力関係になっている。君たち探索者のことをよく思わない政治家の皆さんは多いようだ。」



「…一つ聞きますけど、数カ国って何処の国なんですか?」



「アメリカ,フランス,イギリス,ドイツ,オーストラリア,中国,ロシアだ。君もよく知っている国だろう?」



「もちろん知っているわよ!!『ダンジョンを攻略して資源を集めよう!!』って掲げてる国ですからね!!」



「そのとおりだ。まぁその意味は、財団によってモンスターが駆逐された後、頂点に立った人類がこの地球の覇権を握るための活動なんだけどね?」



「モンスターが生まれてから私達に何をもたらしてくれたのか知ってる?あんたら政治家はモンスターを選挙で勝つための道具だと思ってるかも知れないけど、モンスターが生まれたことでどれだけ人類が発展したか知ってる?」



「生まれたというのは間違いだ。モンスター共はこちらの世界に侵略してきた敵だ。背中を見せれば刺されてしまうだろうから、さっさと元いた世界に帰ってもらわなければいけないのだ!!」



体力が限界に来ているのか、足に力が入らなくなってしまった…きっとこんな状況になったのが初めてだから精神的にも疲れているのだろう…



「はぁ…はぁ…」



「日本ランキング2位である君であっても、その枷を破ることは出来ないようだな。C-5様良い研究データが取れそうですか?」



C-5?よくわからないけど、この枷を作り出した本人なのかも知れない…



「もうデータは取ったからいいぞ。さて…八谷美世君。君には選択肢を与えようと思う。」



「選択肢?」



「そうだ。我々の配下となって行動を共にするか。記憶処理をされて、ここで起きたすべてのことを忘れて去るか…さぁどちらを選ぶ?」



「そんなのここを去るに決まってるじゃない!!」



「ちなみにだが、ここを去る選択をする場合君の持つ全てのモンスターを渡してもらう。その上、24時間後に機動部隊αが襲撃に行くからおすすめはしないぞ?」



「私にこの狂気的な組織の一員になれって脅してるのね…そっちがそのつもりなら私にだってこの状況でできることはあるわ!!」



「ほう?やってみろ。我々が居るのは専用拘束室と呼ばれる場所だ。壁には再生能力や耐性があるから破ることは不可能だ。」



「くっ…来なさい!!」



私のテイムしているモンスターの中でも一番強い子をここで使わないといけないとは思ってもいなかったわ!!



「【幻獣王】リトス!!この壁をあんたの氷で突破してみせなさい!!」



「ほう…このモンスターであれば我々の保有する特殊装備すら貫通してダメージを与えることが可能だろうな…これは改善の必要があるな。」



幻獣王リトスは私がダンジョンに数十回と潜ってきた中で異質と感じたモンスターの一体だ。氷の中に封印されているかのようにこの子が居たのだ…テイムをしようと試みたけどレジストされてしまったのだ…仕方なく私の保有するスキルである『契約テイム』という方向に舵を切った。



「後でたんまりとご褒美をあげるから、しっかりと突破してよ!!」



「非常に危険なモンスターだな…あの少年が持つゴーレムと同様かそれ以上の脅威になりそうだ。そのモンスターをこちらに渡してもらおうか」



「何馬鹿なこと言ってんの!!渡してもらおうって考え方じゃなくて、奪うって考えには至らないのかしらね!!」



「奪うのは野蛮な人種がすることだ。我々は政治家だ。こちらの財団の方々は我々にこの計画を教えてくれた素晴らしき人達だ。ちなみにだが、自らの手を汚すことは政界に身を置く人間としては非常に危険な状態なのだよ。君にはわからないだろうけどね」



…とりあえずは壁を突破することだけを考えないと。今までリトスを観察してきたけど、氷に関することを得意としていて、周囲にある水を全て凍らせること可能らしい。絶対零度の氷を作り出すことも可能らしく愛らしい見た目とはギャップがあるというか…



そしてリトスが使う攻撃に『氷槍』というものがある…あれでなんとか突破できないかな?



「リトス!!氷槍を壁の一点に集中して放って!!」



「財団内のすべての機動部隊に告ぐ!!直ちに第一拘束室に集まりなさい!!対象が逃げ出す可能性があるので外の警戒にも当たれ!!」



リトスの氷槍は壁を貫通して、人一人が通れるくらいの隙間を作ることに成功した。



「それじゃあ私は帰らせてもらうわ!!」



私はそれから必死に逃げた。いつ後方から襲われるかわからない状況だったためか自分の家に着いた頃には疲れすぎて布団に入った瞬間に寝てしまった…枷のせいで体を動かせないのが辛いな…









「C-5様。逃げられましたがどうするんですか?」


「これも予定通りだ。対象は枷を外すことは出来ないから、あのテイムモンスターに乗って逃げたんだろう…事前の指示通り機動部隊αを出動させろ」


「かしこまりました。機動部隊αの部隊長に伝えてきます。他になにか指示はございますか?」


「C-1様に今回の事案によって壁を破られてしまったことを伝えてこい。壁の強化を行うための予算案の提出はこちらで行うから報告をしておくだけでいい…頼めるな?」


「もちろんです。」






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指摘をいただきましたので、今後はこんな感じで一目でわかるように調整しようと思います。

用語説明

機動部隊α…対人戦闘に特化した部隊。対象の拘束や殺害などどんな任務でも完ぺきにこなす。完璧主義者が多いことで財団内でも有名。



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