第114話 城下町
ケイト達はウィンダムまで拉致被害者を連れて戻ってくると、ウィンダムでは、受け入れ場所として空いている宿を貸し切ったり、学園の寮の空き部屋を開放したりと用意をしてくれていた。
そして、ウィンダムの医者や回復魔法使いが、待ち構えており、拉致被害者を介抱してくれた。
その後も、トビーの拉致被害者の回復を見てからクロノソレイユへ向かいたいと言う希望を聞いて、しばらくはウィンダムに滞在する事にした。
ローザの回復を待つ意味でも、必要な時間である。
滞在はアリッサの家にお世話になっている。
勿論、滞在中に家に閉じこもっている必要もない為、ウィンダムの城下町を散策したり、自由な時間をすごしている。
こうして、ウィンダムの城下町を歩くのは久々である。
まだ学園生であった頃は休みの日はこうして城下町に出る生徒も多かった。
学園都市側の店で済ませる生徒も多かったが、そこを出て、こちら側でデートをするのが上級生になってからのステータスとして初等部の生徒の憧れであった。
特に、城下町に出てまでデートをするのは、階級を越えたカップルが多かった為、色々と噂になっていた。
勿論、ケイトはそんなデートをした事は一度もない。
しかし、今日はケイトとアリッサ2人きりのデートである。
この話を昨晩懐かしいと話していたら、リオが気を利かせて2人で行ってくるといいと行ってくれたのであった。
「私達もまだ学生でもおかしくない年だし、周りから見たら学生がデートしてる様に見えるかな?」
「どうだろ?学生服じゃないから見えないんじゃない?」
「もう、そう言う事言ってんじゃないわよ!」
アリッサは勘の悪いケイトに少し語気を強めながら自ら手を繋いだ。
本来なら「まだ学生みたいにデートをしようか」などと言って手を繋ぐ為に手を差し出して欲しかったのだが、恋愛経験などない童貞のケイトには伝わらなかった。
そもそも、そこに気づく様な男であれば、転移前を含めて童貞ではなかったかもしれない。
ケイトはウィンダムを出てからしばらく経っているし、記憶としては10年以上の時が経っているのでどこが有名な店なのかなど分からないが、アリッサはまだ数ヶ月ほどしか経っていない為、学生時代に話題に上がった店など知っているので、デートプランはアリッサに任せてしまっている。
今向かっているのは有名なレストランで、上級生のデートコースの定番らしい。
リーズナブルだが、雰囲気が良く美味しいレストランだそうた。
「せっかくなら学生服を着てこればよかったかしら?」
「それって大丈夫なの?」
勿論もっと高級な店に行く事もできるが、今日のデートは学生の時に出来なかったデートをする事なので、お店も学生に人気の店を選んでいるそうだ。
学生服でのデートもちょっと憧れるが、バレた時どうなるかと思うとドキドキしてしまう。
マグノリア女王に許可をとれば大丈夫だろうか?
学生の時の様な特に中身の無い話をしながら歩いている内に、目的の店にたどり着いた。
「見つけたぞ!アリッサ!」
店に入ろうとした時、大声でアリッサに声をかける人物にであったのであった。
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