第104話 戦1

アンクリシアの軍が一定のラインを越えた時、クロノソレイユは動いた。


アンクリシアの軍に向けて、牽制とばかりに、ミリィとカルが魔法を放った。


ケイト直伝の特大魔法。


ミリィの火魔法を、カルの風魔法で増幅する特大魔法の爆風は、隠れる場所もないアンクリシアの軍に直撃した。


さすが異世界と言うべきか、前方にいた人が漫画の様に吹き飛んだ。


アンクリシアの魔導師は有名なだけに、前方の騎士が吹き飛んだだけで、魔導師が魔法でなんとか被害を抑えたようである。


「それじゃ、突撃!」


「おおー!」


「よし、やっとコイツを試せるぜ」


キイとカリン、ユイトの異世界勇者組が、戦場に出撃しようとした所で、待ったがかかった。


「ちょっと待ちな。あんたら、ちゃんと帰ってくるんだよ。おまじないだ。頭をお出し」


レティシアばあさんことレーちゃんは、出撃する3人に火打石をカチカチと叩いて、厄除けをした。


「ありがとう行ってくるね!」


「ばっちり!」


「へ、こんなの無くても楽勝だけどな」


三者三様な反応だが、ユイトは照れ隠しの天邪鬼である。


「そんな事ないにゃ!ちゃんと帰ってくる様にお祈りしておくにゃ!」


「おい、やめろ、やりすぎだ!」


カルはレティシアに火打石を借りて、必要以上に火打石を叩いた。


3人が出て行った後、残ったミリィとカルは自陣の持ち場である屋上へと戻る。


「大丈夫だにゃん、元気に帰ってこいにゃん」


「後方支援の私達はみんなが帰ってくるのが仕事だよ、頑張るよ!誤射禁止だからね、カル!」


「にゃん!」


カルとミリィは気合いを入れて援護射撃に向かった。



キイとカリンとユイトは出撃すると、一目散にアンクリシアの軍に向かう。


「それじゃ、先行くぜ!」


ユイトの持つ剣が青白く光った後、ユイトの体がかき消えた。


閃光とが通り過ぎた後、アンクリシア軍から、リョウが消えた。


理由は単純で1人だけ鎧が豪華だった為、大将だと思われて1番強そうだからとユイトが攻撃したのだ。


以前の通電性だけいい銅の剣では無く、今回使っているのはケイトに貰ったミスリルの剣の為、いつもよりも出力が出てリョウを弾き飛ばしてしまったのだ。


アンクリシア1番の戦力のはずのリョウは、この一撃でアースランドから貰った伝説級の鎧を砕かれて、戦う事もなく気絶して囚われてしまったとさ。

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