第14話
「
ヘリポートにいる若い魔術師が背中に長い剣を背負っている若者に言った。剣を背負った青年はヘリポートのドアを凝視している。
「地上世界の歩兵の武器では弍式の魔術防壁は破ることはできないだろ?」
「ああ、無理だな。
「じゃあ、弍式と壱式に任せておけば充分だな。ん、待てよ。魔術師の可能性はあるのか?」
剣を背負った青年はドアから魔術師の青年の方に振り向いた。
「追手の魔術師だとすれば空中から来るだろうな。
「そうか。じゃあ、少し横になって休ませてくれ。3人だけでこの場所を監視するなんて無茶がすぎる」
「そうだな、奴を起こして交代してくれ」
魔術師の青年は横になって寝ている一番年配の男の方を
「家柄だけで偉そうにしてるジジイが...」
大剣を背負っている男が吐き捨てるように言ったと同時に周囲に爆音が
吹き飛んだドアの向こうには燃えた通路が見えるだけだった。
冴島は至近距離での土系魔術の岩の出現に、
爆発的な炎が渦を巻き、凄まじい圧力が前方に瞬時に噴き出すと、
冴島は小銃を拾うと、スーツの迷彩機能をオンにした。吹き飛んだドアの向こうには敵と
ヘリポートには3人いた。1人は背中に大剣を背負い、もう1人は杖を持っている。そして3人目は休憩して寝ていたのか、寝転んだ状態で上半身だけを起こして
冴島は迷うことなく、寝転んでいる男に小銃を向けるとセレクターを実弾モードにして引き金を引き絞った。横になっている男の頭部が弾け後方に
杖を持った若い魔術師は、自分と剣を背負った
「おい、
「そんなこと知るか!」
「地下からの追手だろ? あれはどう見ても火炎魔術だぞ」
朝霧と呼ばれた魔術師は
「魔術師なら銃を使ったりしないはずだ。おい、探知魔術で見つけられないぞ」
冴島は動かずに男たちが動揺している様子を見ていた。
・・・まずは1人・・・
冴島は先手を取って敵の人数を減らしたが、簡単に倒せると判断して寝転んでいる男を先に銃撃したことを少し後悔していた。一番厄介な
・・・近距離タイプの化外剣闘士と遠距離タイプの魔術師か・・・
「
「ああ、少しぐらいは後方支援しろよ」
「そんなの必要なのか?」
「それもそうだな」
牙炎と呼ばれた背に大剣を背負った白人系の容姿をした
牙炎の
「おい、隠れてないで出てこいよ。新国王の命令で来たんだろ?」
返事はなかった。
「
その声を聞くと牙炎は一気に右側の方向に踏み出して、
ギリギリ
牙炎は右腕一本で大剣を上段の位置まで引き上げると左手を添えて左下に向けて斬り下ろした。
「おい!
「ああ、気をつける」
冴島は切り裂かれた胸元と、その近辺の光学迷彩にノイズが入っているのは認識していたが、それ以外の場所は正常に稼働しているのを確認し、迷彩機能は切らずにそのままにした。
仮に顔が見えてしまったとしても、腕と脚が見えないだけで有利には違いないからだ。
・・・化外剣闘士相手に魔術防壁は意味がない。それなら光学迷彩を有効利用しよう・・・
魔術師の天敵である
冴島は魔術防壁を張り直さずに、ノイズが入ってる部分を左腕で隠くした。これでこちらの姿は完全に見えないはずだった。
「正面10歩先だ!」
後衛担当の魔術師が前衛の化外剣闘士に指示を出す。
その声に合わせて冴島は化外剣闘士の左腕側に回り込むようにして位置を変えた。
・・・この化外剣闘士は魔力は持っていても探知魔術は使えないようだな・・・
魔力を使えない化外剣闘士がいる一方で、
冴島は化外剣闘士と後方の魔術師が一直線になる位置に移動すると左手を前に向けて
冴島は化外剣闘士の左手側を抜けて魔術師に向かうと思わせるために小銃をその方向に放り投げた。冴島の手から離れた1秒後に小銃の光学迷彩機能がオフになり、
若い魔術師は
どうせなら魔術防壁で守られている牙炎ごと魔術で正面にいる敵を攻撃をしてしまおうかと
牙炎は目の前に迫る炎に向けて
牙炎が音のした方に視線を移した隙を逃さず、冴島は
冴島は朝霧に切っ先が当たらないように逆手で握った
探知結果に驚いた直後に腹部へ凄まじい衝撃が与えられ、朝霧は痛みで前屈みになったところを後方に回り込まれると、杖を握っている手を捻り上げられた。杖が金属製の床の上を転がり、ひんやりとした金属製の何かを首元に突きつけられた。
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