押さえきれない衝動を凍らされて、、、、

石川タプナード雨郎

第1話 琴線

私は某アイドルグループに所属する19才。

前置きなどはさておくと、現在私は男性マネージャーに恋してしまっている。

その男性マネージャーは、一般の19才ならば恋愛対象にならないであろう

42歳である。因みに独身。

まあ42歳にしては中年太りなどはしていないが、おおよそ

そんなにモテる程のイケてるオジさんでもない。

ただ私自身の家庭環境といえば幼くして父が他界し母が女手一つで私を

育ててくれた事による父性の欠落が作用していないとは言い切れなかった。

しかしそのことを抜きにしても、この押さえきれない感情は何なのだ?

若さ故の錯覚?

いいや違う。

私にとって彼は魅力的なのだ!間違いなく。

彼は複数のグループメンバーを担当していて彼の担当の中の

一人がたまたま私だった。

彼は忙しく駆け回るメンバーを気遣い分け隔てなく優しい。

それは他のメンバーも同様に感じている事だろう。

しかしもし他のメンバーが彼に好意を寄せていたならば

それは女同士の事だからその辺は流石に気が付くと思うが

他のメンバーの彼に対するそういう感情は見当たらない。

メンバー同士でマネージャーなどの男性スタッフの話題になったりもするが

大概は同年代が恋愛対象だ。そもそもセキュリティの関係もあって

だいたい側に置かれる関係者は一回り年上か女性スタッフが殆どだ。

そんな観点から42歳の彼がマネージャーとして配属されたのもうなづける。

ただ独身という点は多少気になる点ではあるが業務には支障が無いのだろう。

そもそも出会った時から好意も持ったわけでもなく、徐々に気持ちが

盛り上がってきたとでもいうのだろうか?

アイドルグループというある種閉鎖された空間の中では多少見た目に難があっても

女子高効果とでも言うのだろうかそういう効果が働いても不思議はないが。

自分で言うのもなんだがその辺は至極冷静だ。

いわゆるお偉いさんとでもいうのか勘違いも甚だしい薄汚いオッサンが

幅を利かせる小汚い世界である。そんな小汚い世界で活動している自分も自分だが

そのあたりの判断は出来ているつもりだ。

そのことを踏まえて考えてみると彼はかなり異質というか浮いていた。

マネージャーといえど間近で容姿が整ったアイドルなどを相手にしていると

いやらしさや雑さが多少なりとも露見してきそうなものだが

彼は一切スキを見せないというか常にメンバーとの距離感を一定に保ち

かつ常に紳士的である意味非の打ち所がないのである。

普段は男性に対して、いやらしさや、なれなれしさを軽蔑しているくせに

いざこういう感情を持ち始めると逆に崩せそうにない壁に絶望するという

矛盾に戸惑いを隠せない。

ある時楽屋でたまたま二人きりになった刹那、

湧きあがった感情を抑えきれず彼に抱き着いてしまい

思わず思いの丈を告白してしまったのだ。

「○○○さん、好きなんです!どうしようもないんです!」

そしたら彼はなんと答えたか皆さんわかりますか?

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押さえきれない衝動を凍らされて、、、、 石川タプナード雨郎 @kingcrimson1976

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