無力
あんちゅー
心配と渇望と愛にそれから少し
例えば君が辛いと言った。
だから僕は必死に手を伸ばした。
先の見えない泥をかきわけて、何かを掴めそうに思えた
首を突っ込めばそれが見えるのだろうが
息ができない気がして止めた。
身を乗り出せば届くのだろうが
汚れてしまいそうで遠慮した。
引き抜いた両の手は腐した泥に濡れていた
君は今も辛いといって、力がないと僕は言う。
目を逸らしたままで僕は言う。
君は例えば何も言わず、仕草も変えない強がりならば
僕は一生気付きはしない。
一緒にいれば楽しいねと、浮かれた面で微笑むだろう。
何となく違うと思ってみても
気のせいだろうと直ぐに忘れる。
勝手な責任を訴えては
君の幸せを考えている振りをする。
なけなしの気遣いが使い物にならないのを知って
気が付いた時には居ない君を思って泣いた。
取り返しのつかない後悔を口にする。
もっと話を聞いていればと口にする。
所詮そんなものでできている。
無力な自分と勝手なあなた。
遊び半分に作られた僕達は今日も無力だ。
無力 あんちゅー @hisack
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