第191話 天誅(6)

「閣下?」と。


「どうしますか?」


 少し感情的……。


 そう、自身の幼い頃のことを思い出したのでしょう?


 ドン! と、勢い良く、大きな音を立てながらルイスは椅子に座り──。


 その後は下を向き、辛そうな顔を始めだしたようだから。


 特にルイスは、姉のルインやわたくしのように、自身の母に対して冷めた目……。


 そう、自分の母ではなく、一人の女性……。


 それも平然と父親以外の男性に対して、その身を委ね、子育てを放棄した母親に対して冷酷に見ることができない。


 末っ子特有の甘えん坊さんだったらしいから、ルイスはね……。


 自身の母親が他界をする前に、自分達が暮らす部屋……。


 と、言っても、愛人だった男に用意をしてもらった部屋に。


 その男のために、違う異性を連れ込んでは稼ぐ。


 その様子をルインとルイスの二人は影から見詰めては泣き苦しんだらしい。


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