第3話 儀式・氷の女王
「この辺りで良いだろう。」
「あぁ、あぅ、あぁ。」(村からそんなに離れてないけど...ここで儀式を行うのか?)
「おいオババ、本当にこんな場所で儀式を行っているのか?我々を騙しているのか?それに、、、今まで隠していた儀式の場所を教えるなど。」
「お前たちには感謝している。逃げようとした生贄と、その家族を捕まえるのに貢献したのだから。まぁ、生きて帰れんだろうがな。」
「なんだと⁉︎どう言う意味だ!」
「マリチア様、生贄と前菜をお持ちしました。どうぞお食べください。」
「良くやった、、我が下僕よ。」
「あぅ?あぁ。あぁ!?」(え?何あれ。えぇぇぇ⁉︎)
シスは驚いた、突然黒い鎖が現れ、あの屈強な男達がフルーツを絞る様に鎖で潰され、血の塊となったのだ。続けてその血の塊は、悪魔の様な者に向かって、浮かびながら流れていった。
「その赤ん坊が新たな生贄か。....よく嘘がバレずに続くな我が下僕よ。」
「えぇ、村の者達には、裏の雪山の奥に住む女王への生贄だと、生贄を出せば村に女王の凍てつく冷気は降りてこないと言ってありますから。」
「では、生贄を喰らおうか。」
「あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁ。」(嫌だ、こんな簡単にまた死ぬなんて嫌だぁぁぁぁぁ。)
「何だ⁉︎この魔力は⁉︎」
突然、儀式の場が冷気に覆われた。悪魔の様な者は、驚き、辺りを見回していた。オババとシスは強大な魔力に当てられ震えていた。......そして、その魔力の持ち主は現れた。
「よくも今まで我を愚弄してくれたな。我の名を騙り、生贄を集め喰らうなど、馬鹿にするにも程がある。.....死ね。」
突然現れた氷の女王?と思われる者は、軽く手を振り、悪魔の様な者とオババを凍らせ、氷の礫を当て粉砕した。
「さて、この坊やはどうするか.....お前達はどう思う?」
その一言が聞こえると、辺りは光の玉達が集まり始めた。それは、シスが見てきた世界の中でも素晴らしく美しいものだった。その光の玉が話し始めた。
「ジョウオウサマ、コノコ、フシギナマリョク、シテル、ソダテル?」
「育てる?人間を?まぁ、
「ハーイ、ミンナイクヨ。」
(ずっと驚いて黙って見ていたけど、、女王様ってことは、この人?が氷の女王で、妖精達とグラシスマン?ってのが下僕なのかな?下僕達が住む所で僕は暮らして行くのかな?)
???
「んぁ?おい、誰が死んだ今。」
「うーん.....多分マリちゃんかな?」
「あ〜〜〜あの雑魚か、凍てつく冷気を感じたが、氷の女王に喧嘩を売ったのか?頭逝ってんなアイツ。...王は、イカれてるヤツを復活させるのは躊躇しているからなぁ。二度と蘇ることは無いだろうな。」
「悲しいねぇ、私達上級魔族は数が少ないのに....まぁ、あんな弱い子は、上級の恥だけど。」
「.....お前、相変わらず性格悪いな。面倒見の良い奴になったと思っていたが、心の中では馬鹿にしてたな。」
「え〜〜〜、それは違うよぉ。ちゃんと組織のことも、復活出来ることも、気をつける奴らのことも伝えたよぉ。」
「は?よく言うぜ。マリチアに、氷の女王なんて、上級魔族で襲えば簡単に殺せるって言ったのお前だろ。」
「それは私達全員での話でしょ?1人で殺れるなんて言ってないもの。あの子、弱過ぎて可愛いから相手してたのよ。話し相手ぐらいにはなるわ。」
「俺達、最上級魔族を含めたらな。あいつは気付いてなかったが、お前が話の途中途中に皮肉を混ぜてるの、他の奴らは気づいていたぞ。」
「あれ?気付いてたんだぁ。言ってあげれば良かったのに、アンタも冷たいわねぇ。」
「お前が言うな。王に報告されたくなかったら、さっさと仕事しろ。」
「.....は〜い、行ってきま〜す。」
「.....王も気にはなっているが、上級下位の魔族程度なら替がきくと思っておられるか。まぁ、しょうがないな。俺も仕事を真っ当しよう。」
女王の治める街
「落とさないでよ、子供を抱くのが大変なのは分かるけど、私の体から流れる冷気は赤ん坊には毒だから持てないわ。」
「ジョウオウサマ、シンパイシスギ、ワタシタチ、チカラモチ。」
「街が見えてきたわね。あら?守備隊の者達が来ているわね。」
「女王様、お一人で城から出るのはやめて下さい。護衛隊の者達が大騒ぎしていましたよ。我々も捜索をしていました。」
「護衛隊と貴方達には迷惑をかけたわね。私の名を騙る愚か者の処分をしてきた帰りよ。副産物があったけど。」
「その赤ん坊ですか?いつもなら、人の子など捨て置くのでは?」
「この子達が気に入ってるの。貴方達、氷人達に育てさせようと思って、連れて帰ったわ。」
「コノコ、フシギナ、マリョクシテル、キニナル。」
「成る程、我々氷人が育てましょう。最近、子が産まれた者が居たはずです。その夫婦に育てさせましょう。」
「後は頼むわね。私は城に戻るわ。妖精達、貴方達は自由に行動しなさい。その子は氷人達に預けるのよ。」
「ハーイ、アトハ、オネガイ。」
「後は我々氷人にお任せください。」
(で、この肌の青っぽい人らがグラシスマンで、僕はグラシスマンの家に世話になるのか。もうここまで来たらドウニデモナレッテって思うな。優しい夫婦であることを祈ろう。)
そうしてシスは、氷の女王治さめる街、グラシスマンの夫婦の元で生きて行くことになるのだった。
飴使いの異世界入り 八雲琥珀 @hakurei0429
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