自己肯定感低めの男子を、放って置けない女子たち。
アサガキタ
第1話 取扱説明書。
彼の名前は山家
夕市曰く。
少し不良っぽいところはあるけど、静かに笑う星奈はとびきりかわいいとのこと。
クラスメイトの前では不良っぽいが、捨て猫のお世話をこっそりしてしまうタイプ。心優しプチ不良女子。
それに対し、彼のスペックは至って普通。フツメンで運動神経も普通。成績も普通。敢えて言うなら、とてもいい声をしているくらいか。自信のなさの表れか、目元を前髪で隠していた。
夕市のことはさて置き、降旗星奈についてもう少し語ろう。
身長は155センチを少し越えている。明るめの茶髪でボブカット。サラッとした髪質。
体育で跳ねる彼女の髪に目を奪われない男子はいない。だけど不良女子の彼女に積極的に話しかける男子はほとんどいない。
いたとしても、素っ気ない星奈の態度に見事玉砕された。
色白だけど健康的な顔色。ちょっとタレ目なところや、本を読む時に使う眼鏡が雰囲気を変え、まるで別人、七変化のようで彼女の魅力は無限大。
だけど、そんな風に星奈を見ているのは夕市だけかも。
少し不良っぽいところがあるが、実は楽しいことが大好きで夕市の前では少しだけ笑う。人前では笑うのを我慢しているところがある。
何より面倒見がよく、困った夕市を放って置けない。面倒見に関しては夕市限定かもしれない。
それにしても彼がトップカーストの彼女に、恋という淡い夢を見てしまったのは、不幸にも星奈の席がたまたま隣だったこと、彼女はいつもひとりでいたので、奥手な夕市でも話しかけやすかったし、つまらない冗談でも笑ってくれた。
クラスで浮いた存在だったが、隣の席の夕市に時折見せる素顔は、恥ずかしがり屋の普通の女子に見えた。
因みに彼女のスマホの待ち受けは猫ちゃんだ。更に付け加えるとスマホケースも猫ちゃん。残念ながら彼女の小学生の弟が猫アレルギーで、猫ちゃんが飼えない。
あと、イチゴオーレが好きだ。
彼にだけ見せる彼女の素顔や優しさ、漏れ出るかわいい物大好きが夕市のハートを鷲掴みにした。
分無不相応で、釣り合いの取れない恋だとわかっていた。だけど恋は盲目。ワンチャンあるかもになった。気が付けば彼女のことを目で追ってしまう、そんな毎日。
当たって砕けろと、夕市は数少ない友人の1人、戸ヶ崎
しかし、人生で告白どころか恋すら初めての経験。困り果てた夕市は文芸部の恭司の提案で恋文を書くことにした。
恭司の指導の元、恋文執筆に精を出してたが十数回添削を繰り返した後「すまん、ちょっと何が伝えたいかわからん」と恭司は頭を抱え、最終的に没となった。
見かねた恭司は恋文代筆を買って出、恋文を出すところまでこぎ着ける。
いざ、くつ箱に投函となったが意外に人通りが多い。
人目を気にしながら目的のくつ箱に辿り着くにはハードルが高い。
当の本人となると猶更だ。心臓バクバクな夕市に恭司が手を差し伸べる。
「俺が行こうか」
「いや、さすがにそこまでは……」
「大丈夫だ、俺の場合この伊達メガネを外せば身バレはない」
元々恭司は視力がいい。ただ文芸部っぽく見せるために伊達メガネをしていた。しかも瓶底タイプ。
普段は文芸部仕様の瓶底伊達メガネを着用していて、むさい感じだけど外すとイケメン。
イケメンだと余計に目立ったが、身バレは防げた。
ようやく投函を終えた夕市は回想にふける。
降旗星奈はミステリアスで、笑うとかわいい。不良っぽいというのも魅力のひとつだ。
そんな彼女は、この岬沢学園1年生トップカーストの1人。だけどカーストの頂点ではない。
この岬沢学園には彼女が在籍していた。瀬戸
瀬戸藍華 についても紹介しよう。彼女は子供の頃から子役として数々の映画やドラマCMに出尽くしていた、所謂天才子役。
学業を優先し最近では、CMや雑誌モデルを中心とした活動にシフトしていた。
祖母大好きな藍華は、芸能界から距離を置いた今の生活にある程度満足だった。おかげで祖母との時間がたくさん取れる。
性格はやや幼い。思い込みが激しいところがあり、変な勘違いをして失敗をしてしまう。
ほんの少しドジっ子成分の持ち主だけど、自分はしっかり者と思い込んでいる。
彼女のトレードマークは腰に届く黒髪と、日差しが当たると浮かび上がる天使の輪。
おっとりとした性格と真逆な印象を与える、切れ長の目と黒目がちな瞳。すっと通った鼻筋。薄めの唇。
一見謎めいて見えるが、実はそうでもなくわかりやすい性格の持ち主。怖がりのくせに怖いもの好き。
トップカーストの頂点と呼ばれているが、本人には自覚がない。周りが勝手に言ってることで、それは星奈も同じだった。
最後に触れるのが夕市の友人であり、この先引き起こす事件の一連の鍵を握る男。
それが戸ヶ崎
夕市とは中学時代からの友人で、悪気はまったくないのだが、トラブルメーカー的存在。
何もないところに煙を立たせる名人。先程も言ったが、概ねわざとではない。
弱小文芸部のホープ。瓶底伊達眼鏡を外せば、イケメン。しかも運動神経抜群。
時間さえあれば、夕市とつるんでいる。
そんなどこにでも居そうで居ない4人の学園生活が幕を開けようとしていたが、程なく化けの皮が剥がれることになるのは今は内緒。
■■■お知らせ■■■
試み的な連載です。
需要が見込めないなら、
20話程で完結します。
もし続きをご希望されるなら、
お早めに
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