第18話 事故かそれとも*村長の息子*

*村長の息子(四男)*


「なんなんだよ、アレ!」


 二人がどうなろうがどうでもいい。


 取り敢えず山を下りないと。


 アレに殺されるっ。


「おっ」


 危ねぇ。


 石ころに躓くなんてダサすぎる。


 後ろを振り返る勇気はない。


 ただ、カラスがついてきてることだけはわかってる。


 カーカー鳴いてるからな。


「このまま行けば!」


 山の中を通って帰る勇気はなかった。


 さっきまで明るかったのに、急に暗くなったし。


 俺は川に沿って走ることにしたんだ。


 この川は村の池に続いてるからな。


「捕まってたまるか――」


 気づけば激しい水音と共に川に落ちていた。


「うぐっ」


 畜生。


 足がつかねえ。


 必死に泳いごうとしても、川の流れには逆らえない。


 なんでだよ。


 ここってこんな急な流れだったか?


 悠長に考えている暇はない。


 必死、必死、必死に泳いでも無駄。


「ぷはっ」


 水面から顔を出せたのは一瞬だった。


 なにかが足を引っ張っている。


 無理やり水に沈めようとしているような。


 ヤバイ、死ぬ。


 息ができない。


 誰か、助けて……。


**

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