第5幕 異変
第16話 神の加護
聖さんそっくりの人形をもろうてから、不思議なことが起こるようになった。
一つ目は、私自身に対して。
いつも通り村のクソガキどもが小石を投げてきたんやけど、パシッと音がしてアイツらに当たんねん。
紙飛行機を投げたけど失敗してさ、クルッて戻ってくることあるやん。
あんな感じや。
そんときのアイツらの顔と言ったら。
爆笑もんや。
ぎょっとしとったもん。
以降、誰も小石を投げてこんくなった。
二つ目は、家の前に置かれた虫の死骸がな、後で片付けようと思って放置しとったら消えとんねん。
どこに行ったんかわからんかったんやけどな、大人たちの世間話を盗み聞ぎしてわかった。
私の家の前に置いた本人の家の中に突如現れるらしいわ。
怖すぎるやろ。
三つ目は、家の落書き。
いつの間にか消えとって、書いた本人の家にそのまま丸写しされとるらしい。
こんなことが立て続けに起こるからな、嫌がらせなくなったねん。
原因を私らのせいにされとるんは納得いかんけどな。
「忌み子の呪いだ」
「関わるな」
やってさ。
忌み子ってなに?
「ママに聞いてみたけど『知らんくてええことやで』って教えてもらわれへんかったねん」
「へー」
「興味なさそうな反応せんといてや」
おーちゃんは川に浸した足をパシャパシャさせながら空を見上げとる。
「兎に角、嫌がらせがなくなってよかったね」
「おん」
話はちゃんと聞いとってくれたみたいや。
「絶対な、あの人形のおかげやと思うねん。言うてくれたやろ『人形が守ってくれる』って」
「うん」
貰えただけで嬉しいのに、嫌がらせをやめさせてくれるやなんて。
「聖さんのおかげやわぁ」
幸せいっぱい。
当分は落ち着いた生活が送れそう。
「おーちゃんもそう思うやろ?」
「……うん」
変な間があったな。
まぁ、気にせんとこ。
あ、そうそう。
嫌がらせとかイジメとかはなくなったんやけどな。
一つだけ問題。
小学校でな、別のクラスの子が言うねん。
「あの子、ヤバイもん憑いてるよ」
って。
なんやヤバイもんて。
私を守ってくれる聖さんのことをそんな風に言うのは許せん。
いつか痛い目見せたるから……いや、そんなことしたら私に嫌がらせしてきたヤツらとおんなじレベルになってまう。
それは嫌やから無視しとこ。
霊が視えへん子は仲良うしてくれるし。
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