第15話 聖さんはサンタクロース 1/2
「これ……」
どないしよう。
嬉しすぎて言葉が出てこーへん。
綺麗。
聖さんと同じ長さの髪。
聖さんがいつも着とるワンピースと色違いの赤色。
大きさはどれぐらいやろ。
30cm以上はある。
60cmはないんかなあ。
びっくりするぐらい聖さんに似てるんやけど、気持ち悪くないねん。
聖さんをアニメのキャラクターにして人形にしたって感じや。
「びっくりした?」
「なんて言ったらええんかわからへん。ホンマにこれ、どないしたん」
似てる人形を買ってくれたんやろうか。
それやったら、
「高かったんとちゃうん」
絶対高価。
私らには手が出えへん。
「お金のことなんて気にしなくっていいのよ。腐るほどあるんだから」
「聖さん……もしかして、石油王ですか」
「違うわよ」
即答やった。
「貴女があまりにも私を崇めて『ファンサして』ってうるさいから作らせたのよ」
「毎回言い続けてよかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「うるさい」
叱られたってええもん。
今は喜びを爆発させる時間や。
うるさい、しつこい、と言われながらも言いまくってホンマよかった。
泣きそうなぐらい嬉しい。
「ゆーちゃん泣かないでぇ」
何故か泣きそうなおーちゃん。
私につられてもてるやん。
「おーちゃぁぁぁん」
「ゆーちゃぁぁぁん」
ゆーちゃんに抱きしめられて、もう涙腺崩壊。
わんわん泣いた。
因みにゆーちゃんも。
「カオスね」
呆れながらも、聖さんは優しく笑っていた。
「このワンピースはね」
私たちが泣き止み、聖さんは人形について説明してくれた。
「音葉の手作りなのよ」
「えっ」
「えっへん!」
「凄いなあ」
器用すぎる。
いつものお転婆おーちゃんからは想像できひん。
失礼やけど。
「でね、このお人形には聖様の強ーい力が込められてるの。ゆーちゃんを守ってくれるから、大切にしてね」
「うん、滅茶苦茶大切にする!」
何度も頷く。
一生大切にするわ。
命に代えても。
あ、それは言い過ぎ?
それぐらい大切にする気持ちがあるってことや。
「人形はスタンドなしでも座れるように、骨格内蔵仕様にしてあるから。棚にでも飾っておきなさい」
「はい。あの」
「なに」
「聖さんってサンタクロースですか」
「違うわよ」
その日、帰ってきたママに見せたら私とおんなじようにびっくりしてた。
ママは聖さんを知らんから、なんか「凄く丁寧に作ってあるわね」って言っとった。
で、なんかお礼をせなアカンなぁってことになったねん。
任せて。
ちゃんと私おーちゃんに聞いとったから。
「神様はなにが好きなん?」
「赤ワインとお肉やって!」
「えらい美食家な神様やね」
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