君はもしかして...

 やあみんな!!!私だよ!!

今日の作戦はえーっと...忘れちゃった。

確か『おぱんつ大作戦!!』だっけ??


 さてさて、今日こそ落としてやります!!


 そんなわけで現在朝早くから席に座ってスタンバっ出るわけなんですが....


佐々木くんは今見知らぬ男の子と会話しているんですよ!!しかも話し相手の体型はまさにマウンテンゴリラ!!なんか佐々木くんと仲良さそうだし...もしかしてライバル(♂)登場?

仲良さそうに話してるあの男の子は誰なんだよ!!


ということで美少女がみんな持ってる魅惑、魅力、盗み聞きという三大美少女スキルの一角である盗み聞きを全開にする。


「....ってことだからこれ、ほらよ」


「...うん」


 うん??ちょっとごつめの男の子が佐々木くんにハンカチを渡している??こんなゴツい男があんな可愛いハンカチ使うなんて...しかも妙だな...あのハンカチどこかで見覚えが....


『いやそれ普通にセクハラだよ?』


『あなたが聞いてきたんでしょ..』



 ...あ!!!もしかしてあの時の男の子!!だってあの手作り感あって唯一無二のウサギの刺繍はあのハンカチしかありえない!!




 ......あんなゴツかったっけ??


 とにかくあの時の謝罪をさせる必要があるな...



 ////



「それじゃあな!」


「...またね」


 佐々木くんに手を振り教室を去るゴリマッチョを私は追う。私はセットポジション(自分の席)から軽快に飛び出した。全速力で


 一応アンカーだからな!!舐めるなよゴリラ!!


「待ちたまえそこの少年!!!」


「はい?」


 すまないみんな、つい変な口調が飛び出てしまった。そもそも少年と言うほど可愛くないし....ゴリラだし...


「ハンカチの件、覚えているな?」


「ハンカチ?」


 彼はとぼけたように言う。まさか胸を触ったこと、忘れたとは言わせない!!


「うさぎの刺繍、あとは分かるな?」


「あの、何か勘違いを...」


 あれ、まさか人違いだったのかな...高圧的に出ちゃった、どうしよ。今更態度変えれないし...あ、そうだ


「胸」


「?!」


 やっぱこいつだ!!私の言葉に顔を青ざめて周りをキョロキョロと不信げに見回し始めた。やはり心当たりが...


「放課後、校舎裏で待つ」


「いきます...」


 私は彼にそれだけ告げると背を向けて教室へ戻った。


 ///


 俺、獅子怜央は朝登校すると同時に幼馴染、佐々木悠真のいる教室へ向かった。それはもちろん借りたハンカチを返すためだ。


「よ!悠真!」


「...おはよ」


 俺は相変わらず陰鬱な雰囲気を醸し出す悠真へ話しかけた。別に悪いやつじゃないんだけどなぁ..どこか抜けてるというか常識がないというか...


「これ、マジ助かったわ、ありがとな!ってことだからほらよ」


「...うん」


 俺はポケットからハンカチを取りだして渡した。

 大切なものだと言っていたので丁寧に扱った。


「てかお前の隣の席の子可愛いな?紹介してくれよ」


 俺は隣の美少女に聞こえないよう悠真の耳元で言った。


「そういうの、やめたほうがいいよ」


「ちょ!冗談冗談!!」


 珍しい。どうでもいいとか言いそうなのにな。こいつが他人に対してこんなに興味を持つなんて珍しすぎる。小学校4年生の時に転校してきたんだっけか..その時からずっと他人に興味なんて示さなかったのに...


「まあ、色々助かったわ!それじゃあな!」


「...うん」



 俺は久しぶりに見た幼なじみの顔に懐かしさを覚えつつ、ここへ来る時とは違いスペースができたポケットに手を入れて教室を出た。



 それからしばらく廊下を歩いていると


「待ちたまえそこの少年!!」


 背後から聞こえたのは鈴がなるような高い声、振り返るとそこには例の美少女がいた。


「はい?」


 わけも分からずつい気の抜けた声が出た。

 するとその美少女はこちらを睨み一言


「ハンカチの件、覚えているな?」


「ハンカチ?」


 俺はあまりの心当たりの無さに困惑が先に勝った。


「うさぎの刺繍、あとは分かるな?」


「あの、何か勘違いを...」


 うさぎの刺繍と言えば悠真のハンカチだが…俺とこの美少女にどう関係するんだ...?


「胸」


「?!」


 俺はいきなりのワードに心臓が飛び出でるほど驚いた。そう、俺はあの日 『美少女 JC 貧乳』で検索して出てきた画像を使って…その時に甘い匂いのする悠真ハンカチを嗅いで…はっ!?俺は何を?!


(※児ポダメ絶対)


「放課後、校舎裏で待つ」


「いきます...」



 なぜその情報を知っている……そう思ったが後ろめたさからその言葉は口からでなかった。悠真…ごめん…俺…

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