許さない...
「ん...そだね...でもお化け屋敷のが良かった...」
彼から放たれた言葉は、心臓の鼓動を急かした。焦点は合わなくなり、手からは力が抜けていく。
私の中の焦りは頂点に達し、目からは涙が、全身からは汗が、私はその時に己の過ちに気づいた。
「...え?だって、メイド喫茶がいいって」
「何も思いつかなかったから、メイド喫茶って言った..」
メイドやりたいっていうあの前フリは何だったんだよ!!!
「私...余計なことしちゃった...?」
「ん、メイドも楽しそうだから...」
何となくフォローされた気分になった。泣いた。
/////
「ふ、ざ、け、る、なー!!!!」
その日の夜、私は昼のことを思い出し怒りが頂点に達した。メイド喫茶やりたいって言ってたじゃん!!!お化け屋敷のが良かったとかわかんないよ!!佐々木くんのためにやったのに!!もうきらいだから!!だいっきらいだから!!
「佐々木くんのばーか!」
私は枕に顔を押し付けながら不満を叫んだ。私はその時に復讐を決意した。
文化祭までに、 ぜ っ た い 堕 と す !!!
私の目には復讐の灯火が宿っていた。打倒佐々木悠真である。文化祭までに堕として、メイド喫茶の方が良いことを証明してやるのである。
//////
みんな、久しぶり!私だよ!
突然だけど私は今とある用事で電車に揺られている。
それは一旦置いといて...
さて、堕とすことを決意してから約1週間たった。
1つ気づいたことがあるのだ。
佐々木くんって、女に興味無い?
この仮説である。というのも彼、こんな美少女の私が、事あるごとに絡みに絡んだ。なのに...照れすらしないのである。私、嫌われてるのかな?と思いつつもなんだかんだ弁当は一緒に食べてくれるのでそれ無い...と思いたい。
もし仮に彼が女に興味がなかったとしよう。
その場合あなたならどうする??どうやって彼を堕とす?もちろん普通の方法ではダメだ。どうするかって??
えっちなことするしかないでしょ!!
皆様は覚えているだろうか?私が初めに言った3つの項目、美少女に話しかけられる、美少女に優しくされる、美少女のえっちなところを見る。
この作戦を...
つまり私の作戦は3つ目を、つまりえっちなことを実行すれば大勝利ということである。
だがその場合障害となるのがクラスメイトの目である。周りにビッチだとは思われたくないのが世の中の真理、2人きりになる必要がある...あ、それデートじゃね?
ということで私は彼をデートに誘った。出会って1週間でデートに誘ったのかって?は、はい...ノリと勢いでやっちゃいました...
『ねぇねぇ佐々木くん、デート行かない?』
『ん、いいよ』
まさかの二つ返事である。わたし、美少女のはずなんだけどなぁ?自信なくしちゃうなぁ...
で、その日程というのが今日、今日である。
私は今、電車に揺られています。同窓会には行けません。
某パチ公前集合ということなので、11:00から待ち合わせである。ちなみに現在時刻は11:02
本当にごめんなさい!!!!
私は某メッセージアプリ、Rainを開いて彼に謝罪のメッセージを送る。
『ほんにごめん、5分くらい送れる』
『あせりすぎ』
申し訳ありません...本当に申し訳ありません...許して..許してください...
...ちなみにあと2駅である。5分以上遅れる...かも...
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