私の美少女力をご覧あれ

 酷い目にあった....

 佐々木くんが意外と天然なところのある少年だったせいで思わぬカウンターを喰らってしまったが...

 4時間目で仕返しするしかあるまい!!!


 えーと、4時間目は....

 おお!!これは楽しそう!!


 ////


「皆さん席に着いてください!!」


 クラスリーダーである山本君がザワザワと騒めくクラスメイトを教壇から見下ろし、よく通る声で沈黙を促した。


「(ねぇねぇ、佐々木くん、佐々木くんは何したいとかある??)」


「(ん、僕はメイド喫茶...とか...」


「(メイド服に興味あるの??佐々木くんにだけ見せてあげよっか?)」


 ニヤニヤしながら男の子が喜びそうな言葉を選ぶ!!

 ドキドキしたでしょ?ふふふふ


「(ううん、お客さんじゃなくメイドやる側)」


(は?!そっち?!まさかの佐々木くん、女装癖アリアリの男の子だったのか!!)

 私はクラスリーダーの山本くんの話を聞き流しつつ小声で佐々木くんと会話に勤しんでいた。

 もしかして私たちイチャイチャしてるように見えるのかな??


「碧澄さんと佐々木くん!イチャイチャするのもいいけど話聞いてね!!」


 ...?!山本!!いま私の心を……読んだ...?!

 ッッッ!!お前、心を読めるんだな??

 おい山本、聞こえてるんだろ…イチャイチャなんかしてないし....イチャイチャなんてしてないし!!!


 心読みやがったな山本!!許せねぇ…読心術者山本のせいでクラスメイト視線が私たちへ集まる。


「「ごめんなさい」」


『なんで僕まで』そう言いたげな佐々木くんはこちらを軽く睨んできた。ちょっとゾクゾクして新たな扉を開きそうになった。。いやほんとに…


 読心術者山本が長々とした前置きを言い終え、ついに本題を口に出した。


「ということで!!文化祭の出し物を決めます!!!」


「「「うおおおおおお!!」」」


 私は美少女なのでこんな叫び声は上げない。

(うおおおおおおお!!)

 今のは心の中だから許してね??


 ///

「じゃあみんな、お化け屋敷ってことでいいのかな?」


 しばらくして…たくさんの意見が出された後、話はお化け屋敷へと収束しようとしていた。


「賛成!」


「いいと思う!」


「いいんじゃない?」


「ちょっと待ったあああ!!」


 おっと、誰かがこの流れを断ち切ったようだ。

 もちろん私である!!

 私は聞き逃さなかった!!佐々木くんがメイド喫茶をやりたいと言っていたことを!!

『僕メイド喫茶やりたい』→『無理かぁ...』→『碧澄さんさんのおかげでメイド喫茶になった!』→『好き!!』


 我ながら完璧な作戦...


「「「碧澄さん?!」」」


「私はメイド喫茶やりたいです!!もしメイド喫茶になったら私のメイド姿の写真欲しい人に配ります!!」


 私は佐々木くんのために自分の写真を配ることを約束した。最終手段である。どうか!!私の美少女力!!頼む!!!頼む!!


「「「....」」」


「....別にメイド姿碧澄さんの写真が欲しいわけじゃないけどね?元から思ってたけどね?やっぱ俺メイド喫茶がいいわ!」


「あ、俺も俺も!」


「一応確認しときたいんだけど俺も写真が欲しいわけじゃないからね?けどメイド喫茶の気分だな〜!」


 …ふっ、勝った。これが美少女の力だよ!!

 佐々木くん喜んでくれるかな?!?!

 ふふ、褒めて欲しいな…


 ////


「ではうちのクラスの出し物はメイド喫茶決まりした!拍手!!」


 読心術者が皆に語り掛ける。パチパチパチパチ、と大きな拍手が起きたと同時に、終了のチャイムがなった。

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