487話 フィラデルフィア(1929〜)

さて、ここでアメリカのフィラデルフィア地方に目を向けて見ましょう。

あの大暴落が起きるまでは『全米』が好景気に湧いていたかというとそうでもなかったりするのです。


史実の方でもフィラデルフィアは1920年代の好景気に乗り遅れていたし、失業率は大暴落前の好景気の末期でも10.4%という高さでした。


あの大暴落前から、家を失った友人達に部屋を貸して助けたりする光景が見られていました。


繊維業の街、フィラデルフィアは世界との競争に晒されており、最前線でした。

(史実でも関税を高くして外国からの繊維製品を高い値段にするスムート・ホーリー関税法は大歓迎されていました。)


市内の失業者は大暴落と同時にあっという間に数年で40%も高くなっていき、失業率が50%を超えるのがもっとも早かったのもここです。


パンなどの主食を配給する場所に並ぶ失業者の列の事を『ブレッド・ライン』無料の炊き出し食事施設の事を『スープ・キッチン』と呼ぶが、それらが全米で最も早く現れたのはフィラデルフィアでした。


それ以前のフィラデルフィアは市民の自助努力によって不況を乗り越えてきていたのですが、市議会は自助努力では無理だと判断して15万ドルを用意したが、すぐに無くなってしまいました。

300万ドル、400万ドル、500万ドルという寄付が集められ、懸命に仕事が作られて努力もされたが、これらのお金はあっという間に無くなっていきました。

州政府も援助したが、焼け石に水でした。


ニューヨーク市の職業斡旋所では4時間働いて60セントにしかならない、時給だと15セントのタイプライターの修理の仕事すら奪い合いになるほどでした。


以前にUSスティールのパートタイム労働者化について触れましたが、これらのパートタイム労働者の平均的な就業時間は59%で、給料はフルタイム時と比べて60%前後に下がっていた。

(時期や仕事量によってはもっと下がる。)


今はUSスティールのような大企業に勤めている労働者の11万人すら40%以上も給料をカットされています。

その全員が失業の恐怖を感じているのだから寒気がしますね。


USスティールのような大企業に職を持っている人達ですら暗い顔をしているというのはまわりの人達を絶望させたのではないでしょうか、、、


7〜8万人のフルタイム労働者に大暴落前と同じ給料を支払って、『これ以上はクビにはしない!』と宣言していた方が良かったのではと思ってしまう。


アメリカでは、結婚率も子どもの出生率も大幅に下がっていました。

家庭も危機に晒されていました。


若い労働者がちゃんと給料を貰えるのなら結婚もするし、子どもも産まれるのです。



街には万人単位のホームレスや失業者が溢れていました。


人口が増えれば経済は発展します。


この恐慌時代に生まれた人間の少なさはアメリカに暗い影を落とす事になります。


そして失業し、職を求めて浮浪する移動民が出現し始める。


溢れる失業者をなんとかしようとニューヨーク州知事のルーズベルトも奮闘していました。

史実の彼の在籍していたのは1929〜1933であり3500もの工場が閉鎖されています。

史実では1930年にはニューヨーク州の失業者は100万人を超えていた。


そして彼は2000万ドルの予算を作り出す為に所得税を50%も増税するのです。


フランス、ベルギー、オランダ、スイスの中央銀行が手持ちのドルを金に変え始めていました。

フランスの中央銀行は手持ちの6億ドルのドルの内の5億ドルを金にしています。

ドルの価値が下がることに備えての

自国防衛の動きでしょう。、


でも、よりアメリカをデフレに沈める動きとも言えます。

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