447話 ロンドン軍縮条約のはずが?(1929照和世界)

何故か1926年(史実では1927年)に開催されて英国と米国が喧嘩して決裂したジュネーブ海軍軍縮会議の後も定期的に米英の間で軍縮の会談はされて話合われてはいたらしい。


今、アメリカで株の大幅な下落が起こり、ダウ平均株価の下落が止まらなくなり、米英は軍縮条約の改正を考え始めた。

とはいえ、史実で封じ込めようとした日本があまり条約型巡洋艦を建造しておらず、駆逐艦も大型化をしつつ数を減らしており、あまり軍備拡大していない事から改正案はあまり進まなかった。


日本は宇垣がいくらでも艦船を建造できる為、対米戦力比に拘っていない。


はっきり言って条約型のガチガチに規制された艦船は作りたく無いのが日本の本音だった。



そして日本は中国の南京、上海、香港がまた襲われたら困るし、襲われた時に備えて大口径砲を搭載した艦艇を上海、香港、南京、青島、天津などの租界がある海岸際の街に停泊させる事を米英軍に勧めてきている。


現時点で日本の領事館&大使館があるのは、上海、香港、青島、天津であり、それ以上に広めるつもりは無いと発表している。

(北京は海から遠いし、南京は2度も襲われた都市だから、北京大使館は閉鎖したし南京領事館の復旧は迷っている。 )


対中政策において米英協調関係にある日本だが、既存艦艇の削減に対して、

『比叡を練習戦艦に改装する事に費用を使いたくない。』と反発した。

軍縮は予算の削減の為に行うのに、

予算を増えるのは本末転倒である。


それに、イギリスの『ベンボウ』『マールバラ』『エンペラーオブ インディア』『タイガー』とアメリカの『ユタ』と『フロリダ』は廃艦にするのではなく、チャイナに睨みを効かせる為にもチャイナに置いては?と提案した。


これだけの戦艦が睨みを効かせていれば上海や南京で起きたような虐殺は起きないだろう。

南京まで遡るのは戦艦には難しいかもしれないが巡洋艦を並べれば充分に脅かす事ができる。


実際、戦艦『ベンボウ』『マールバラ』『エンペラーオブ インディア』などの『アイアンデューク級』の戦艦は艦齢も15年が経過しているし、そろそろスクラップにするか売却したい戦艦だったのだ。


実際、これらのアイアンデューク級戦艦は主砲も45口径の34.3 cm主砲であり時代遅れの戦艦である。


維持するのも嫌だからこそ廃艦を考えているのだ。


『タイガー』も巡洋戦艦だが34.3cm砲を搭載しているので廃艦したくなるのも無理はない。


アメリカの『ユタ』『フロリダ』『ワイオミング』は『アイアンデューク』級の戦艦よりも主砲の威力の低い12インチ(30.5cm砲)搭載戦艦であり、

今となっては完全に時代遅れである。

これもスクラップにして廃艦にしたい戦艦であり、チャイナに停泊させて運用し続けるというのはちょっとした嫌がらせにもなっている。


だが、30.5cm砲を12門搭載しているフロリダ級が斉射攻撃したら、相当なショックを中国人に与えるだろう。


『なんなら廃艦にする前の最後の御奉公として天津や青島の租界の郊外に砲撃を行って米英の戦艦の艦砲射撃の恐ろしさを中国人に教えてやっては?』

と日本は提案した。


『もう主砲の砲身の摩耗の事は気にせずに余っている砲弾の在庫一掃と思って、天津の郊外を派手に撃って中国人を脅かしてやりましょうよ。』


と宇垣は提案したのだ。

『それに、マスメディアも招待して派手に宣伝すればアメリカとイギリスの政権支持率も上がるでしょう。』と

竹中半兵衛は米英に囁いた。


日本に居ると全然不況だと感じないが、アメリカも英国も株価の下落は止まらないし、政権は下げ止まらない株価の下落に恐怖していたのだ。


南京にあった各国の領事館の虐殺は被害にあった各国を怒らせている。


上海もそうだったが、青島や天津の租界の周辺にも中国人スラムができて大勢の貧しい中国人が住んでいる。

南京や上海のように中国人が攻撃してきたら戦艦で砲撃するぞ!と脅かすとなればフランスやイタリアや他の欧州各国も政権の人気取りに参加を表明し多国籍艦隊の艦砲射撃という一大イベントになるかもしれない。

(これらの国々も租界を防衛するくらいの小規模な部隊は派兵しているが、軍隊はたいして派兵してはいない。

なんらかの形で南京の報復はしたいし、艦砲射撃なら損害無く一方的に攻撃できる。)


中国人の虐殺行為に更にスポットライトがあたるのは日本にとってもメリットが大きい。

あの2度の南京での虐殺で亡くなった人数はアメリカ、イギリス、インドの人数が多く亡くなっているのだが、

数千から10000人に近いくらいの人数であり、これくらいだと歴史に埋もれてしまう恐れがある。



米英が上海周辺の村を攻撃しようとしたのも上海や周辺の村々に中国共産党の魔の手が伸びているのを知ったからだ。(上海大学は共産主義者の巣窟だったし。)


村を攻撃しようとして手痛い損害を受けた米英軍だが、戦艦の艦砲射撃で

村を吹き飛ばして中国人を脅かすのは悪くないなと乗り気になり始めた。


中国人が戦艦の砲撃を恐れて上海周辺からいなくなれば上海は安全になる。


それに天津や青島や北京の租界をより安全にする為にも艦砲射撃での脅しは効果的だろうと米英は艦砲射撃を決意した。

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