435話 そして始まる大恐慌。

未来の経済学を学んでいる宇垣昌弘や

ゴーレム達も『『『えっ?』』』っと

疑問に思ったのだが予知能力が株価の暴落の危険を察知した。


『『『まだ1928年なのに?』』』


アメリカに居たアメリカ人型ゴーレム達、(新しい成功者達)は株取り引きの手仕舞いの準備をしていたのでなりゆき売りで株を高値で売り抜ける事に成功した。


アメリカでの株取り引きの総責任者であるセイバーは、『この暴落が底になって『回復』して世界大恐慌になるのだろうか?それともこれが世界恐慌の始まりなのか?』と思いつつも予知能力スキルに感謝した。


手仕舞いに備えて株の取り引きの量を減らして現金化していた為、何とか売り抜ける事に大成功したからだ。

(売り抜ける事に成功するが、その大量売りがきっかけで暴落が始まるのは

成功とは言えない。

ここでセイバーは株を売ったが、それにより暴落が起きなかったので、大成功と言えるだろう。)


さすがのセイバーも大恐慌のような

大規模な株の暴落を経験するのは始めてだ。


1907年恐慌とか、いくつかの恐慌の時も正確に株の暴落の予測を教えてくれた予知能力を信頼するしかないだろう。


宇垣昌弘はリーマンショックの時やバブル崩壊の時の大暴落の経験者だが、

さすがに早すぎて本当に大暴落の始まりなのかどうなのか悩んでいた。


だが、世界中で株などの情報を収集しているメンバー全員の予知能力が株の暴落の危機を予知しているのだから、

アメリカの株の暴落が世界中の株の暴落を引き起こしそうなのは確実なようだ。


セイバーは親しくしている顧客達に株を売って利益確定をしたと連絡した。


彼らも株を売り払って利益を確定して

ホッと一息ついた。

すでにつきあいのあるロックフェラーやモルガンやロスチャイルド家から預かっていた投資信託も利益確定を行っている為、彼らから委託されて投資信託を運用している証券会社の中でトップクラスの運用成績を出す事もできるだろう。

あとはどん底になった時に株を買うだけだ。

なのだが、、、


大暴落の始まりのその瞬間は日本にいた宇垣昌弘の予知能力すら強く反応するほどの危険が察知された。

アメリカの株の大暴落の余波は日本でも株式の暴落を引き起こすからだ。


宇垣昌弘が保有している株の中には売れないものもある。

だから暴落の危機に予知能力が反応しているのだ。



この時のアメリカはまさにバブルだった。

多くの不安材料があるにも関わらず、

膨らみ続けたバブルがまさに破裂しようとしていた。

とはいえ石油の産出量が減ったのはこの数年の事であり、不安材料の多くは

ここ数年の物なのだが。


だが、実態経済以上に株価が無茶な投資で膨らんでいるのは事実だ。


少なくともアメリカの上層部の経済センスのある人間なら、膨らみ過ぎていると思っていた。

中小の新規参入者の投資家達はもっと株が上がると思っていて銀行から融資して貰い、株を買い、株を担保にして更に株を買うなんていう無茶な事をしていた。

今まではそれで上手くいっていたのだが、、、株が下り始めると担保としての価値が少なくなる為銀行は追加の担保を求めてくるから、地獄に落ちる事になる。



ロックフェラー家やモルガン家やロスチャイルド家も見事に株式を運用していたセイバーの事を信頼していた。


彼らもアメリカの不安材料をよく知っており、市場の推移を見守っていたのだが、その瞬間に大暴落は始まった。


アメリカ人の投資家の中でも、いい加減、株は加熱し過ぎていて、これ以上は上がらないだろうと思っていた人間もいた。


ガソリンなどの価格も値上がりしており品薄で価格が下がる気配が無い。

ガソリンの高値のせいで自動車の売れ行きにもブレーキがかかっていた。

株の暴落が起きる材料は多くあったのだ。


ネルソン・ロックフェラーは暴落している株を買い支える指示を出しつつも、「これは無理だな」と内心は冷静だった。

その指示はあくまでも、ロックフェラー家はアメリカの為に動いたという表向きのアピールに過ぎない。


株式の大暴落が起きてしまったら、

底になるまではどうしようもないと

彼だって理解している。


だが、ただでさえ嫉妬される大実業家なだけに、表向きは動かざるを得ない。


多くのアメリカ人が大損をしている、このタイミングで空売りして儲けたりしたら大変な事になるだろう。


だが、何度も経験はしているが、株の大暴落というのは彼にとっても恐ろしい。

保有している多くの株の価値が急降下しているのだから。


倒産すれば紙クズだし。


懇意にしている人達からは問い合わせがやって来ているようだが、彼にとってもわからないものは答えようが無い。

無論、表向きの発言をするだけだが。


ウォール街では飛び降り自殺が相次いで地獄絵図のようになっていた。


むしろ、ここは入り口に過ぎない。

銀行や証券会社や保険会社などが破綻し始めてからが正念場だ。


ネルソンにすら全体像は見えて来ない。



(株はもっと上がって、もっと儲かると楽観的に考えて株を担保にして更に銀行から金を借りて株を買っていた、

ガンガン買っていた人間はすでに破産しそうになっています。)


この時の大恐慌ですが、アメリカの株価が底が抜けて更に底に落ちているのですが、この暴落は大暴落になるのかは宇垣昌弘もわかっていません。

予知能力と直感を信じるだけだと、

昌弘は思っています。


史実のアメリカは富を生み出す石炭や石油などの資源を豊富に生み出してお金を稼いでいる大産油国なのに大恐慌で悲惨な事になりました。


今のアメリカは石油を輸出できない

石油輸入国です。


石炭資源もギリギリです。


だから1928年、ほぼ1年前に大暴落が始まりました。

作者の経済予測では、そうなると思えました。

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