251話目うなぎ屋の娘ちゃん。

『うなぎ屋の娘が学校に来るなよ!

うなぎ臭いんだよ。』


遠くですが、そんな声が聞こえてきました。

この近くには初等学校もあります。


下校途中なのでしょうか?

1人の少年が少女に対して大声で暴言を

言っていました。


そして少女の髪から鮮やかな赤色のリボンを奪おうとしています。


助手席にいた宇垣昌弘は御料車のマーク1から飛び出して少年の腕をつかみました。


少年は乱暴にリボンを奪おうとしていたので少女は怯えて泣きそうになっていました。


『大丈夫?もう安心してね。』

とかがみ込んで目線を合わせて皇太子妃殿下が少女に話しかけると少女も

安心した様子でした。

皇太子殿下も微笑んでおられましたが

伊藤博文さんはかなり怒っていました。

昌弘も駆けつけてきた甲賀衆の1人に

少年を預けると後を任せました。


少女を運転手の背中側の座席に乗せ、

皇太子殿下と妃殿下を乗せてマーク1はうなぎ屋に向かうのでした。

(宇垣マーク1の座席はリムジン配置で運転席と助手席の後ろ側は対面する形で4座席がソファーのように置かれています。

シートベルトも付いています。

後方の座席は広く、ギリギリなら大人が3人ずつの6人が座れます。)


ええ。あの上皇陛下も行きつけの

鰻屋です。

実はあのリボンも少女の誕生日が近いと聞いて皆で選んでプレゼントした

シルクのリボンなのです。


高級品といえば高級品ですが、

まさかトラブルになっているとは、、、


『助けていただいて ありがとうございます。』と少女に感謝されつつ、御料車は鰻屋の裏口に止まるのでした。


『本日貸し切り』と書かれている入り口にいる甲賀衆に挨拶して、皆が入って行きます。


そういえば、この鰻屋は西郷さん兄弟や勝海舟さんや坂本竜馬さんも食べに来た事があるとか。

坂本さんのファンにとっては聖地巡礼ですねえ。

姉の乙女さんに書いた手紙の中に鰻を食べた話があるらしいですが、その内の1つがこの店なのは確定ですからねえ。

なんせ勝さんから陸奥さんが聞いた話

ですからね。(2人とも20年長生きしました。)


まぁ、天皇陛下や上皇陛下が出前を取る時にはこの店から出前しているので、皇室御用達と言えるのですが。


で、築50年は超えていそうな、この鰻屋ですが中々の名店ですよねえ。


北大路魯山人も食べにやってくるとか、、、

すると、未来の『美味しんぼ』にも

登場する可能性がありますね。


(その後のリボン事件ですが、

あの乱暴な少年の妹が欲しがったから、あの少年はリボンが買える場所を

聞きに来たらしいですね。

でも、プレゼントだから少女は知らないし、お店にやって来た偉そうなお客様にとても聞く事はできないし、断ったそうな。


宇垣百貨店じゃないかとは言ったそうですが。


で、癇癪を起こしてリボンを奪おうとしたと、、、


少年には何とか言い聞かせて、

矛を納める事にしましたが、さすがに

少年を相手に水戸黄門ごっこはできませんからねえ。


最近の上皇陛下はほんと自由に生きられているんですよね。

山岡鉄舟さんのお墓にも御手を合わせに行かれたとか、、、

侍従でしたもんね。

山岡鉄舟さん。

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