第43話 御座艦

「あなたが次の皇帝ですね。名前を教えて下さいますか?」

「おれは皇帝なんかじゃ無い」

「でも、脳の中に古い型ですが皇帝の証のチップが入ってますよ?」


 今の今まで忘れていたが、俺の脳の中にはロストチップが埋め込まれてたんだっけ。

 それも超高性能の! 発揮する機会が無かったから忘れていたわ。


「確かに脳の中にはロストチップが入っているが、それが皇帝の証かどうかは知らない」

「それでも脳にチップとマナ規定量を超えているのであなたが皇帝です」

「マナとは何だ?」

「この星では魔法や呪術の源と呼ばれていますね」

「あ~! それかぁ」

「それでお名前は?」

「タロー・コバヤシと言う。今は本名を名乗らずに太郎と名乗っている」

「それではタロー・コバヤシ、私を受け継ぎますか?」

「お前は何なんだ?」

「精神体になる前の人類の使っていた皇帝御座艦です。何でも出来るように作られています」

「それが本当なら受け継ぎたいな」

「それでは、了解も取れたことですし、本艦はこれより皇帝タロー・コバヤシの物となります。浮上する際にこの島は沈没するのでご了承下さい」


 沈没! ちょっと待て! それは不味い!

 

「まて! 沈没は困る。何とかしてくれ」

「それでしたら私が浮上する時に島が沈まないように加工するのに百年程時間が掛かります。ですから暇でしたから次世代の皇帝御座艦を作ってみたんですがそちらに乗りますか?」

「どう違うんだ?」

「私の性能の5倍です。知識も引き継いでいるので今で言うロストトクノロジーを欠けること無く継承しています。こちらなら亜空間から取り出すだけなので島は沈みません」

「じゃぁ、それで。貴艦は100年後に浮上できるように島を支える工事をしておいてくれ」

「かしこまりました。それでは資材の半分は時期皇帝御座艦に移しておきますね」

「ああ。頼む」

「工事中に人が来ると面倒なので濃霧にして、それでも人が来るようなら迎撃の許可を願います」

「許可するが、くれぐれも隠密にな」

「了解致しました」

「それで次世代の御座艦は何処に出しましょうか?」

「この星のこの場所の真上の宇宙空間に出現させて、俺達を転送することは出来ないのか?」

「勿論、可能です」

「なら、それで頼む」

「かしこまりました」

「見つからないようにな」

「かしこまりました」

「では外に出さして貰うので後は頼む」

「分かりました。お気を付けて」


 こうして外に出た俺達は外に出ると同時に転送された。


「外に出るのと同時か。少し困るな」

「申し訳ありません」

「いや、謝る必要は無いんだが一声かけて貰いたかっただけだ」

「次からはそうします」

「それにしても共の者達はずいぶん静だな?」

「停止信号で停止させております」

「何故?」

「機密の宝庫ですので、記録に残さない方が良いと思ったものですから」

「ああ! それは気がつかなかった。有り難う」

「礼には及びません。それで、私の名前を付けて下さいませんか?」

「そうだな…………光皇こうおうなんてのはどうだ?」

「了解致しました。私の名前は光皇こうおうです。それでは、所有者登録をして下さい」

「どうすれば良いんだ?」

「今から出しますパネルに手のひらを当ててマナを流して下さい。その際にサブとして遺伝子も取りますが、遺伝子よりもアストラル体の登録とマナの特徴が優先されます」

「わかった。やってくれ」


 そう言うと、目の前に2つのパネルが出た。片方に片手を乗せてもう片方に別の手を置く。それでマナを流した。

 そうすると不思議なことに自分が調べられていることが分かった。

 数秒で終わり、光皇こうおうの所有者登録は終わった。


「この所有者情報は洞窟の中であった前御座艦にも送っておきます。それでそちらの所有者情報は大丈夫でしょう。……モノリスに手をついた時点で所有者情報の取得が始まっていたと推測されますが」

「わかった」

「それでは、館内を案内しますか? それとも地上に戻りますか?」

「地上に戻してくれ」

「了解致しました」

「あ! それと宇宙海賊の脳ユニットだが怨霊弾に変えてくれ」

「宇宙海賊の脳ユニットを怨霊弾とは何でしょう?」

「俺の記憶映像と怨霊弾の概要を送信するからそれで判断してくれ。宇宙ネットの番号を教えてくれ」

「そんな面倒なことをせずとももうパスは繋がっていますのでそれで送ると思えば遅れますし命令も出来ますよ」

「そうか。じゃぁ、これだ。」

「成る程、犯罪者を痛めつけてアストラル体になっても容赦せずに痛めつけて怨霊化をした後に弾にして目的地でアストラル体を破壊することで高純度の威力をまき散らす兵器ですね。了解致しました」

 

 そうして俺は転送前の場所に戻ってきた。犬、猿、鳥は輸送船トランスと自分の体内時計の狂いに戸惑っているので分けを教えてやったら納得していた。


 宇宙海賊の住処を漁っていたら食料庫や金の財宝類や布の生地などが多く出てきた。

 これらは一旦、輸送船トランスに転送する。

 そうすると、輸送船トランスから俺宛に緊急の通信が入っていると言うので中継して貰った。

 相手は楓と紅葉だった。


 なんでも、向こうの騒動が解決して様子見で数年間待っても変化が無かったので数日中に迎えに来るという連絡だった。

 


―――――――――――――――――――――――――――――

次回は話はエピローグ、完結の話だよ。

次回、エピローグです。

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