海賊に襲われて避難した先がファンタジー世界でした!〜早く迎えが来ないかな?〜

辻智晴

プロローグ

第1話 遙か未来?

 時は遙かな未来、太郎は小鬼ゴブリンに追いかけられていた。

 それというのも悪いオーガが出たので退治してくれと言う懇願が教団に依頼として来たからである。


 最初は太郎も断った!しかし、義妹の桃子が12歳になるかならないかにもかかわらずに私が行くと言いだしたから、皆止める。

 無理だから止めろと言っても大丈夫だやってみせると言う。

 年齢的にも体力的にもオーガ所か小鬼ゴブリンでさえ危ないと言われても私そんなに弱くないもんと言って聞き入れない。

 実際に引き受けて1人で行ってしまった。

 案の定、途中で野良小鬼ゴブリンに捕まって助け出す羽目になった。

 巫女として引き受けたのを反故に売るには世間体が悪い。

 後の事を考えて義兄としては見過ごせなくて俺が行くから待っていろと言ってしまった。


 普通は12歳になるかならないかの少女がオーガ退治に自分が行くと言い出すか? そして行くか? 普通!

 絶対にアレは自分の代わりに俺を動かそうとして言ったに違いない!

 しかし、放っておく訳にもいかない! 退路は何処にも無いし、どうすれば良いかの知恵も浮かばない!

 しょうが無い、本当なら言いたくない! 本当に言いたくない!だが、世間体と言う物がこの世にはある。

 義妹を死地に送り出す訳にも行かずに俺が行くと言ってしまった。言いたくないのに言ってしまった!

 その時の義妹の笑顔と言ったら憎らしい事、憎らしい事他に無いって程だった。


 その結果、オーガの拠点の門番の小鬼ゴブリンに追いかけられている。

 小鬼ゴブリンを殺すのは簡単だ。

 だが、それをするとオーガとの戦闘が難しくなる。

 故に逃げるしか無いという境遇の理不尽さに嘆いている太郎であった。

 

 そもそもは家来と一緒に居たはずなのに小鬼ゴブリンに気がつかれたと思ったら、自分達の周りに消臭剤を撒いて俺を囮にして逃げやがった。

 家来の風上にも置けない奴らだ!


 ◇


 普通の小鬼ゴブリンならもう遙か遠くになっているのに徐々にしか距離が開かないって事はこの小鬼ゴブリン、自然と身につけたのか長時間身体強化の魔法を使ってやがるな!

 所謂いわゆるレア個体だ。

 しかし、身体強化を使ってももうそろそろ魔法の時間切れに魔力も持たないだろう。


 そう考えていると前方の草むらの方に何か生き物の気配がする。

 躱そうかどうしようかと考えているとヒョイッと若鹿が現れた。

 これは幸いと若鹿を拳で殺して死体を小鬼ゴブリンに投げつける。

 小鬼ゴブリンは最初何を投げつけられたのか分からなかった様だが、若鹿と分かると俺の事など頭の隅にも残らず忘れて獲物の事だけになった様で若鹿を連れて帰ろうとしていた。


 それを隠れて見送った俺は安堵の息をついた。

 あのままでも撒けたが、疲労困憊の小鬼ゴブリンが帰って来たのを他の小鬼ゴブリンオーガが見たらどう思うかを考えると狩りで獲物を獲ってきて疲労困憊という方が自然に感じるだろう。


 それはそうと、草むらに居るやつのか3つの反応があるな。


「誰だ! 出てこないと敵と見なして攻撃するぞ」


 草むらが揺れて影から何かが出てくる。


「わぁ、ちょっと待って! 僕らだよ! 僕ら」


 よく見ると俺を囮にした家来達じゃないか、ここで一発ぶっ飛ばしても大丈夫だな。


「この目は僕達をぶっ飛ばしても問題ないと考えている目だ」


「ほう。良く分かったな! その通りだ。主人を囮にして逃げ出す家来にはそれ相応の躾が必要だろう?」


 俺は顔は笑っているが目が笑っていない笑顔でそう言った。


「わぁ、あれは主人を信じてあれじゃ死なないという信頼の元の行動だよ!」


「俺もお前達が首を切られても死なないのを信頼所か確信しているぞ!」


 俺が微笑みながら言うと、家来達は頭を抱えて土下座して謝ってきた。


「すみません! まさか主人の心がそんなに狭いじゃなかった、傷ついてるなんて思っていなかったんです! 許して下さい!」


 ……こいつら、俺を舐め腐っているんじゃ無いか? 首切るか?


「まぁまぁ、悪気はないのです! 悪気は! それに主人を囮にした事は謝りますが、その分の成果もありましたので許して下さい!」


 成果だと? 何の成果があったと言うんだろう?


「成果を話してみろ。話はそれからだ」


 そうすると家来達は競って成果を話し出した。


「ご主人のお陰で苦労せずに敵の砦に侵入出来ました!」


「そこでおおよその敵の人数と装備が分かりました!」


「そしてオーガですが、あれはオーガじゃなくて人相の悪い海賊でした!」


 ちょっと待て、今なんて言った? 海賊? 海賊だと! 俺がここで燻り続けている原因じゃ無いか!

 それにオーガと海賊だと話が違ってくる。相手も一応人間だ。オーガと違って力任せの一辺倒じゃなく、卑怯な事や策を弄してくるだろう。

 それにしても海賊かぁ。ここらで海賊と来たら俺がこんな目に遭っている元凶の海賊に違いないな!

 復讐のチャンス到来って訳だ!

 だがちょっと待て、どうして海賊と分かったんだ?


「どうして海賊と分かったんだ?」


「それが海賊のやつが寝言で俺達が使う言葉を喋ってその内容が海賊じゃないと辻褄つじつまが合わない様な話でして」

 

 成る程、寝言なら無意識で長年使っていた言葉が出て来るわな。しかも、海賊じゃ無いとつじつまが合わない話って社会の裏って事だろう。


「良くやった。今回の成果で首切りは今の所勘弁してやろう」


 そして俺はどうやって退治してやろうかと策を巡らすのであった。


―――――――――――――――――――――――――――――

新作です。

前回見て下さった人はお久しぶりです。

プロットがふんわりと出来たのとストックが少し溜まったので表に出す事にしました。

よろしくお願いします。


次回は本日の12:02分に予約投稿します!

内容は行き成り主人公殺されかけるです。


もし、出来ましたら目次の下の方にある評価の方をよろしくお願いします。

何かお気に召さないと言うかたは★☆☆を、少しでも気になるという方や普通だなと言うかたは★★☆を。何か気に入ったや続きが気になるという方は★★★を付けて下されば幸いです。

♡で応援するでも良いのでよろしくお願いします。

実を言うと★の方が嬉しいですが!


拙い出来ですが旧作も読んで頂ければ幸いです。


能力者が現れたと思ったらダンジョンも出てきました。これは・・・・・・商機ですね!

https://kakuyomu.jp/works/16817330658887843407

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