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 お昼からはアクィラのところにお邪魔した。


 元賢者のお家はツタに覆われたちょっと年季がいってそうな感じで中は本がいっぱいのいかにも賢者ちっくなイメージにピッタリ。


「うー、安心や」


 さっき婆ちゃんの苦ハーブ汁飲んだのがまだ鼻に臭ってる。アクィラが出してくれたのは普通の紅茶で安心した。


「ルーノ、今後は魔術や剣や錬金術、何がしたいんだい?」

「え?何も?楽ちんに生きれるようにしてもろたん」


 何?そんなん覚えて一生社畜みたいに働かなんはもう嫌やで。


「でも旅に出るとしたら自衛は必要だろう?」


 うーん?南の島で一生バカンスとかお願いしたら良かったか。


「ルーノ、ステイタスオープンって言ってごらん」

 あ、小説でよくあったやつや。


「ステイタスオープン!」


 目の前に薄い幕みたいんが浮かんで細かい文字が並んでる。


「それはルーノが許可しない限り他人には見えない。ステイタスはむやみに他人に見せないようにな」



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 ルーノ(8歳) 神人族

 レベル 20/∞

 HP/∞ MP/∞

 属性/全属性

 幸運値/MAX

 ユニークスキル/EASY

       スキル入手が簡単

       レベルアップが容易

         

 スキル/鑑定 看破 アイテムボックス

     危険回避 自動回復 身体強化

     MAP 従魔術

 


 神々の加護 


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 大まかにこんな感じ。


 何や!?ユニークスキルがイージーってなってん。


 イージーにすべきは多分そこじゃないて。


「何か面白いのが見えたか?」


 目を見開いてる私を見てアクィラが聞いてきたけど、面白いんやなくて絶望の顔じゃ。


「神様の優しさがようわからん」

「ん?」


 楽ちん、イージーモード言うたら、能力が楽に習得できてってことになるん?


 小説は重箱の隅までねぶり倒す勢いで読むけどゲームはやり込み要素ゼロなパズルゲームが好きやったで!!

 やけ、レベルアップも周回したりもなんも頑張らなあかんゲームは好かんのや。


「この村にいる間は衣食住があるけど外に出たら食い扶持を探すだろう?」

 至極ごもっとも。


「・・・投擲とか魔術を学びたい気がする」


 部活入ったことないしな。

 塾も習い事もないわ。

 とりあえずそんなんやる感じやろか?


「それぞれ得意な奴がいる。明日にでも合わそう」


 アクィラは紙から鳥を作り出し飛ばした。ちょっとやってみたい。


 ズズズ~!


「おや、何か狩れましたかね」


 外から何か引き摺る音が出てきて二人で外に出てみたら、昨日ドラゴン狩ってきた爺さんたちがアナコンダ?みたいなのを広場に出して調理場におこうしてた。

 それはぶった斬らんと無理だわ。


「いやぁ俺の休憩場に出てきたからラッキーだったわ」


 村人がナイフ持ってワラワラ出てきて解体の準備を始めた。

 絵面がホラーや。


「皮は丁寧に剥げよー」


 賑やかになった広場を眺めてたらアクィラが、「あれはブルーサーペントだ。酸を吐くから接近戦はダメだぞ」って。


 その知識、必要ないことを祈るわ。

 巨大蛇とエンカウントして戦うなんて嫌やで。


「おーい、ルーノ!精力つくからいっぱい食えよ~」


 何や、いきなり8歳児にセクハラか?

 ち○んちん爆ぜろ!


「・・・滋養にいいのも確かだが、身は美味しい。食べて損はないぞ」


 婆さんたちも嬉しそうだからそうなんだろうけど、爺らにデリカシーはないんか?


「ルーノ、アクィラ、今日は蒲焼きにするわね」

 解体して小分けを手伝ってたシルバの婆ちゃんが呼びにきた。

 蒲焼き?

 鰻とか穴子みたいな?


「昔ルーノみたいな渡人がタレが無きゃ死ぬーって試行錯誤して作ったタレは家庭に一壺ってくらい普及してるのよ。お肉にも使うわね」


 好物食べたなるのはわからんでもないけどすごい執念や。

 蒲焼きは給食でしか食べたことなかったけど確かにタレが美味かった。身はちょっと嫌いやったけど食べんと夕飯がなかった時詰むから給食は残せへんかったわ。


 宴会の時以外は分配して各自好きに食べるんやて。

 まぁ呑助は広場でこのまま騒ぐそうや。


 家にアクィラと戻ったら爺ちゃんが炭起こして焼く準備してた。


「おかえり!」


 良い笑顔で出迎えてくれた爺ちゃんは、焼きを婆ちゃんに任せて中に入って桶と酒瓶持ってきた。


「蒲焼きにはシロメシが一番じゃ」

「そうだな、そして酒にも合う」


 婆ちゃんが手際良く調理してるのを眺めてたら、一度焼きやった。

 確か二度焼きが美味しいはず!子供の頃テレビで見たん。あれ?三度焼きもあったか?

 蒸してないからタレの製作者は関西人か?


「婆ちゃん、も一回タレつけて焼いてええか?」

「あら?良いわよ」


 油たっぷりてらてらしてん。そう言えば確か風で煽るとええんや。

 うちわなんかないからまな板に使ってる板を使ってみた。重いけど良い塩梅に火が動くで。


 香りも充満や。


「まぁ、いつもより香ばしいわね」


 焼き上がったら丼?にシロメシ盛って蒲焼き真ん中に一枚入れても一回シロメシからの蒲焼きドーン、タレをザバァや。


 婆ちゃんが楽しそうに見てる。多分本当は蒲焼きは皿に盛るつもりやってん。でも止めずに見守ってくれた。


「おお!ドンブリメーシじゃな!!」

「なるほどタレをしっかり楽しみたいと」


 大喜びで掻き込み食べて。


「うまい!!」

「美味しいね」


 爺ちゃんは丼持ったまま外に出て行っちゃったわ。


「あれは自慢しに行ったわね」

「自慢したくなるのも仕方ない」


 やっと私たちの分も焼き上がったので食べれる。


 アクィラはお代わりを自分で焼き始めた。


「おいひい。蛇ってうまいんやね」

 程よいサイズの蛇やったらちょっと抵抗あったけど、あそこまでデカすぎると別の食材に見えるわ。ぶりぶりに脂のってんし。


「口に入れた状態で話しちゃダメよ」

 婆ちゃんはくすくす笑いながら口を拭いてくれる。

 子供の時、食事時は話したら殴られるし、オカンは顔や服を汚そうもんなら手に持ってた皿や箸投げてきよった。

 大人になってからは誰かと食事なんてほぼ無かったし、あっても話しながら食べるフランクな相手じゃなくて仕事関係だったから、こんなん言われた経験もなかったわ。


 婆ちゃんみたいな親が多分普通なんやろ?

 あのアホンダラのクソラキめ。

 クソ親も自分の努力でどうにかなった言うんか?こない世話してくれるようにガキんちょが促すんか?馬鹿タレめ。親の根性悪なんかどうもなるかいな。


「山椒と漬物があれば完璧んなんに」


 照れ隠しにちょっと憎まれ口が出てしもうた。


「サンショ?」

「ツケモノ?」


 どうやらタレの製作者はタレ以外に興味がなかったんやな。 


 漬物やったら他にもいたらしい渡人も食べたがりそうやけどないんかな?


 そう言えば初期装備に調味料あった。


『好きなもの食べれないと辛いからな』

って言ってたけど、食べれれば良いって思ってたからあまりこだわりはないんや。


 でも醤油や味噌、胡椒、出汁の素は当たり前に使ってたから貰えて良かった。

 しかもアイテムボックスに戻せば使用した分が元に戻ってる仕様だって。神や!!あ、ほんまもんの神様やったわ。


 早速マジックバッグ経由で山椒を出した。

 これって〈テレレテッテレー〉みたいやな。さすがに青い猫は子供の頃は見れてたで。


 早速、蒲焼きに振りかける。

 山椒使う料理なんて自炊ではしたことなかったからイマイチ味知らんけどね!


 婆ちゃん、まず山椒のみを箸で摘んで匂いかいでパクッと口に入れた。

 辛味と香りが広がるはずや。


「へぇ、これは脂の濃いものに相性がよさそうね」


 そう言うと薬草に棚からひと瓶取り出してまた口に含む。


「ん、これに似てるわ」


 どうやらこの世界のハーブにも山椒っぽいのがあるみたい。


「ほう、ならば今後も食べられますね」


 アイテムボックスに入れないと中身戻らないからあげるわけにいかへんから、使えるものがあって良かったね。


「これはね、鎮痛と胃腸や冷えに効くのよ」


 へぇ!こんなピリッとしたやつも薬になるんやね。


 その後は漬物について聞かれて、糠があるって言うからタブレット出して糠床調べて作ったわ。


 面倒やし、塩揉みキャベツくらいにしたら良かったわ。


 でもきゅうりの漬物食いたいで良いかなって思ったらズッキーニみたいなのしかなかった。分類的には一緒かも知れんけどなぁ・・・。






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