ドワーフのガラス職人

 

 ガラスに魅入られたドワーフがいた。

 ドワーフといえば鉄鍛冶が主な生業だが、彼はガラスにしか興味がなかった。日がな一日中工房に籠り、日夜ガラスの研究をしていた。

 仲間はそんな彼をバカにしていたが、ある日、1匹のサイクロップスが工房を訪れた。

 

 「我々サイクロップス族は目が唯一の弱点だ。目を守る、ガラスの兜を作って欲しい」


 ドワーフは仕事を受けた。


 半年後、彼は頑丈なガラスの兜を完成させる。


 弱点を克服したサイクロップスは連戦連勝、遂には最強の種族である人類にまで勝利した。


 サイクロップスはその勢いのまま、様々な種族を滅ぼしたが、ドワーフだけは滅ぼさなかった。

 ガラス職人に利用価値があるのもさることながら、それ以上に、彼に恩義を感じていたからである。サイクロップスは、見た目に反し、義理堅い種族であった。


 ドワーフ族はガラス職人に感謝し、彼を末長く崇めたそうだ。

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