第8話 左
とても疲れていた日。
風呂場にて急に強い眠気が襲ってきたので、湯船に浸かったままうとうとしていると
ぴとん ぴとん ぴとん 左
ぴとん ぴとん ぴとん 左
ぴとん ぴとん ぴとん 左
と、しずくの滴る音の合間に、規則正しい間隔を保ってどこかで聞いたことのあるような女の声が
左…左と訴えてくる。
我が家の風呂の左、湯船から左側は洗い場になっている。
大方寝そうになっているせいで妙な声が聞こえているのだろうと思い、目を開けた。
湯船の中には沈んだ膝がある。
左には瓜実顔の女の顔がー
その瞬間風呂の縁にかけていた手が滑り、そのままひっくり返る形で湯船に沈み込んだ。
ゴボゴボと音を立てて溺れていると、家族が助けに来た。
もちろん、左の洗い場には誰もいなかった。
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