1-7

 そして、土曜日 登校の集合場所まで泉希ちゃんを迎えに行って・・・木の塀が続くとこに来て


「この横の方に玄関あるのだけど、みゅうみゅんは、いっつもそっちから出入りするの」その時、泉希ちゃんは何にも言わなかった。


 そして、会社の事務所があって、その横から中庭に続く所から入って


「ただいまー」と、事務所に声を掛けたら、ヨッさんが出てきて


「おかえり 今日は 友達と一緒でっかー?」


「うん 最初に友達になってくれた子 泉希ちゃん」


 会社のほうは、皆が一斉に休むのは火曜日だけで、土・日は当番制で出ているのだ。だから、事務所にいるのは、ヨッさんとじっちゃんだけだった。


「みゅん ここっ モ・ト・マ・チ ? 居候してるって ここ?」


「ん だよー お母さんの実家」


「そーだったんだ この辺りの旧家ヤン」


「知らないけど 家は古くからあるみたいね」


「さっきの人 ね ウチで何度か見たことある 作品を取りに来てるみたい」


「そうなの ホテルとか旅館にお土産物とかを卸している会社だから、泉希んちのものも扱ってるんかなー なぁ なぁー さっきの人 ヨッさんって言うんやけど ちょっと カッコ良いんちゃう? みゅうみゅんな! 時々 バットスイング見てもらってるの 有名校で野球やってたんやって でも、膝を壊して、続けられなかったらしいわー」


「なぁ バットってー・・ 野球?」


「うん 島でも みんなとやってた 男も女もいっしょやでー 人数少ないしなー」


「そうかー あんな 体育 5月から ソフトボールで 9月にクラス対抗やねー みゅん 大丈夫やろー?」


「ソフト? みゅうみゅんがやってたのは 軟式ボールっていうやつ違うのかなー ソフトボールって大きいんちがう? みゅうみゅん等のはもっと小さいでー」


「うー まぁ 慣れたら 一緒やー」


「美海ちゃん お庭で話してないで、ウチにあがってもらったらー 泉希ちゃん いらっしゃい 実海のこと 親しくしていただいて ありがとうネ」と、ばっちゃんが家の中から出てきて・・。


 泉希ちゃんを案内して2階の私の部屋に・・・長い廊下があって、4部屋あり、突き当りがトイレ。お母さんが小学校の時、2階をリフォームしたと言うことらしい。私は、昔 お母さんが使っていたという一番奥の部屋。手前は紳おじちゃんの部屋なんだけど、飲んで帰って来ることが多いので、たいがいはリビングで寝てしまうのだ。ちなみに、紳おじちゃんは、もう40近いと思うのだが、まだ、結婚もしていないのだ。


「なぁ みゅんチの階段 広いなぁー ウチとは違う」


「そう? みゅうみゅんはな 降りる時、途中から飛び降りるんよー ばっちゃんに叱られるけど」


「当り前やんかー みゅん 学校でも そんなことやってるやろー? そのうち 叱られるでー」


「そうかぁー? その方が 早いヤン」


「でもねー 怪我すると 先生も叱られるネン」


「そんなん 怪我するのって・・ 擦りむくぐらい 普通のことやー ろ?」


「みゅんは ウチが思っている以上に ヤンチャやねんなぁー さぁー 宿題してしまおー」


 それから、漢字と算数のドリル。漢字はともかく、算数の分数の掛け算の問題。私は、理解出来なくて、分母と分子の両方に掛けてしまって、分子だけに掛けるということが理解出来なくて、こんこんと一から泉希ちゃんに教えてもらっていたのだ。1/3が幾つ集まっても3は変わらないでしょ? まるで、1年生みたいだった。


 お昼近くになって、台所に行って、天津丼を・・・材料はばっちゃんが揃えてくれていたのだ。あっちのばっちゃんに教わった通りに、泉希ちゃんと作っていった。


「うん おいしいー ウチ 初めて食べた みゅんはすごいねー 器用やねー」


「よかった! 本当は 2度目 作ったのって みゅうみゅんは 何にも出来ないけど ちゃんと教えてもらったのは、忘れないの みゅうみゅんの良い所!」


「みゅんは ほんと 不思議ちゃんだよね ウチ みゅんみたいな子 出会ったの初めて」


「みゅうみゅんも 初めてよ 泉希みたいに シャンとして 何でも優秀な人」


「うふっ そんな風に言ってもらえたの 初めて みゅんのご両親って 素敵なんだろうなぁー」


「うん 世界一だよ オトンは ちゃんと理解してくれる みゅうみゅんのこと」


 泉希ちゃんが帰る前


「なぁ みゅんの愛しの人 学校行く時 待ち伏せしょっ ウチ等 学校行くの8時やんかー だから、その前に自転車で多分 駅前を通るよ あそこの家からなら」


「えー 待ち伏せ?」


「そうよ! でもしないと ずーとっ 会えないよ わかったぁー!」


 と、強引に決めつけられて、泉希ちゃんを見送った後、ヨッさんが


「みゅうみゅん うまかったデス! おおきにー」


 私は、じっちゃんとばっちゃんとヨッさんの分も作っていたのだ。私達のより、少し酸っぱめに・・。後で、ばっちゃんからも「おいしかったよー あの人もおいしかったってー 上手だね」と、ほめてもらったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る