バターは元は薬に利用されていた

バターの起源は確定的ではありませんが、紀元前2000年頃にはバターのようなものが作られていたとされています。

最古の記録としては、紀元前4千年のイスラエルの遺跡から、バターを作るための道具と推定される土器が出土しています。

また、大英博物館に収蔵されているメソポタミア文明のシュメール人の神殿跡から発掘された装飾版には、土器製のチャーンでバター作りをしていると思われる様子が描かれています。


古代ギリシャやローマでは、バターは食糧としてよりも医薬品や化粧品として用いられたようです。

食用としての利用は、紀元前60年ごろ、ポルトガルが最初といわれています。


日本におけるバターの始まりもはっきりしません。飛鳥時代に伝わった乳文化は貴族たちの間に広まりましたが、その頃に牛乳を煮つめたりして加工されていたものが、バターや練乳、あるいはチーズに近いものだったのではとの諸説があります。

いずれにせよ、武士の時代になると乳文化はすっかり途絶えてしまいます。今のようなバターが登場するのは明治時代に入ってからで、米国から日本に農業指導にやってきたエドウィン・ダンの指導により、バターをはじめとする乳加工品が作られました。

明治10年に上野公園で開かれた内国勧業博覧会にも、チーズとともに出品されています。バターは西洋風食品のシンボルとされ、「バタくさい」という言葉も生まれました。最近ではあまり使いませんね。

北海道では大正14年に、酪農家が出資し北海道製酪販売組合が組織されました。商標は「雪印」です。組合は翌年連合会組織に改まり、通称「酪連」となります。


バターの歴史は長く、その使い方も多岐にわたります。食用だけでなく、医薬品や化粧品としての利用もありました。そして、その製法と利用法は時代と共に進化し続けています。


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