働かない働きアリの重要性

アリのコロニー(集団)には、常に約2割の働かないアリが存在します。

これは、北海道大学大学院農学研究院の長谷川準教授が2012年に明らかにしたものです。働かないアリが存在する理由として、働きアリが疲れて休みだすと、反応が鈍かったアリが動き出して仕事をするようになるということが指摘されています。


長期的に見ると、働かないアリがいる方が時間単位辺りの仕事の処理量のばらつきが小さくなります。

これは、一斉に働くシステム(働かないアリがいないシステム)では、全員が疲れて働けなくなる状況が生じてしまうためです。しかし、働かないアリがいて、働くアリが疲れて動けない時に働かないアリが穴埋めするシステムだと、仕事処理量がゼロになる時間が少なくなるのです。


このように、「働かない」働きアリは、コロニー全体として労働を停滞させず、コロニーの存続を支える重要な役割を果たしています。

これは自然界の巧妙な仕組みであり、人間社会でも参考にできる部分ではないでしょうか。人間の組織でも、全員が一斉に働くことよりも、一部の人々が休息を取りつつ労働を分担することで、組織全体としての労働力を維持し、組織の存続を支えることが可能です。


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