第2話 既視感
このまま電車に乗ったままだと車庫行きなんじゃ
…?とか、いやでも乗っていたら意外となんとかなる…?とか、そんな事で頭を悩ませていると、右側の扉が開き、焦った私は『なんとかなるはず』の精神で電車を降りる。
暫くして暗闇に目が慣れると、そこにはどこかで見た景色が広がっていた。
(…凄…かなり夢と似てるな…
というか…一緒……?)
なんだか嫌な予感がした私は周りを見渡す、
するといつから居たのか、青年に声を掛けられる
「一応聞くんですけど、ここがどこか分かりますかね…?」
「…花里…さんですか?」
驚きの余り質問を無視してしまったがもう遅いし、これについては仕方無いと思う。
何故なら、『彼の姿が夢の中で見た“花里”と同じだった』からである。
「…え?なんで知って…」
反応からして、やはりそうみたいだ。
(じゃあさっき見たのは正夢?
なら、これから…私は……)
考え過ぎだ、と頭を振って自分を落ち着かせる。もう少し話してみるか、と正面を向くと、花里に思い切り不審な顔を向けられている事に気付く。
「いやー凄い!友人に似たような容姿で同じ名前の人が居まして!同じ名前なんだー!」
少しわざとらしくなってしまった、流石に誤魔化しきれないか…
「そう…なんですね!」
(あっ、チョロいなこの人!)
「まあ一応、俺は花里と言います。
花里 実です。」
「あっ、私は、モチヅキと言います。」
(さらっと偽名の方言っちゃったな…
というか、“実”の方は初めて聞いたや。)
そんな事を考えていると、いきなり凄いスピードで視界の下の方から少年が出てくる。
「ボクはヒビキだよぉ!!」
正直かなり驚いたが、軽く
「よろしくね、花里さん、ヒビキ君。」
と返す事が出来た。心臓が止まるかと思った…
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さて、ここからの展開だが、
正夢では花里さんが…“周りの様子を見てくる”
的な発言をするはずだ。
そして彼は帰って来なかったと………
正直、あんな夢を信じるなんて笑えるが、信じる信じないとかじゃなく、どちらにせよ着いて行った方が良い、子供一人じゃ危ないしね。
「俺、ちょっと周りの様子を見てきます。」
「あっ、私も行くよ。」
「良いんですか?全然俺1人でも
大丈夫だと思いますけど…」
「ボクも行ってあげよっか!!」
……
花里さん、弟に対しては容赦無いな…
ガン無視は流石に勇気が凄い…
「無視しなくたっていいじゃん!!」
「まあまあ、私は大丈夫だと思うよ?」
「そうですかね…なら、行きましょうか。」
そうして3人で周辺の探索を始める。
「取り敢えず、裏の方の森に行ってみましょう。
民家とか、山小屋とか、何かそういう物が見つかるかもしれませんので。」
「そうですね、行きましょう……」
(正直あの森には行きたくないや…なんで他に何も無いんだこの駅の周り…!見渡す限りほぼ海と平原ってどういう事だよ!!)
そうやって無駄な事を考えていると、いつの間にか森の中に入る。
「いてっ!」
入って早速木の根が露出している所で転び、地面が窪んだ場所に倒れ込む。
「大丈夫ですか…?ほら、手、引き上げるので出して下さい。」
「あはは…すいません」
情けないのと恥ずかしいのとで目を瞑り、苦笑いしてみせ、そのまま手を伸ばす。
しかし、いつまで経っても手は掴まれず、なんだか不安になってくる。
ゆっくりと瞼を開け、花里さんとヒヒキ君の姿を探す。…が見つからない。
「_ろ_て__」
「…? 今なんて言いました?」
どこからかぼそりと声が聞こえ、
少し安心した私は声のした方に顔を向ける。
「こ ろ し て や る」
農家で使われる藁袋の様な物を被った、男…?が視界に映る。手にはナイフを持っていて、え…?その動きもしかして刺そうとして…
明らかに冷静じゃなi
「待て!それ振り下ろすな!!」
考えるより先に声が出た、男の手はもうすぐそこまで迫っている。
(あっ…これヤバいやつ…)
何かを悟り、きゅっと目を瞑る。
しかし、予想とは違い、
私の体への衝撃は無かった。
「んー、君、大丈夫かな。」
また声がして、驚いた私は瞼を開く。
すると、年季の入った制服を着た少女が、こちらを無気力そうな表情で見ていた。それもほんの顔から数センチ先で。
「大丈夫そうだね、うん、良いと思う。」
急に現れた少女に呆気にとられていると、ふと、先程の男はどうなったのか?という疑問が湧いてくる。ゆっくりと立ち上がり、オロオロと男が立っていた場所に近づくと、足元から“ぐちゃ”という音がした。その音から恐ろしい妄想をしてしまい、真相を確かる為下を向こうとした所で声を掛けられる。
「うん、じゃあ、こいつみたいになりたくなかったら、着いてきて貰おっか。」
すっかり恐怖に怯えた私は、
その少女に従う事にした…
ここまで見てる人居ないだろうし、今とても眠いので変な区切り方してます。許してね。
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