Chapter 4


 胸に不快な痛みを覚えて、アトリは作業の手を止める。胸元のお守りを握りしめた。癖どころか、今や性癖と化しつつある行為だ。

 こうすることで、なんとかやり過ごせている。アトリの胸に時折やって来ては膨らんでいく得体の知れないそれは、アトリの精神の柔らかい部分を徐々にではあるけれど、確実に蝕んでいくのだ。

 嘆息して、洗濯籠に手を伸ばす。その際、ストールがほどけて、地面に落ちた。さっき、寝入っていたアトリを見かねて、エメさんが毛布代わりにかけていってくれたものである。

 返そうとしたら「ここに滞在している間だけでいいから。付けていてください」と半ば強引に貸し与えられているものだ。身体のラインを隠すためとはいえ、ボロ布を巻いているのを見かねてなんだろうけれど。

 ちなみに、エメさんっていうのは、カマロンの町に来てからアトリたちが厄介になっている酒場サルーンの主人ことケサダの奥さんのことである。


「……いや、エメさんって、奥さんっていうより女将ですよね」


 だってエメさん、すごくガタイがいいのだ。第一印象、ヘビー級の悪役プロレスラーだし。

 聞けば、エメさんは凄腕のカウガールなのだという。ケサダによれば、気性の荒い野生馬に縄をかけて捕まえて調教し馴らするのは、どんな男よりも上手いのだとか。

 ちなみに、カウガールっていうのはカウボーイの女性版のことである。

 西部劇はともかく、西部開拓時代では女性が男性と同じ力量を必要とする力仕事に就くのは珍しいことじゃなかったっていうし。ってか、酒場サルーンを経営する一方でそんな仕事をしているって、エメさん凄すぎである。

 そういえばお礼を言うのを忘れていた。

 しかし、同時に漠然と思うこともある。

 どうして、ブッチのポンチョじゃなかったのだろう。

 だってもしそうだったら、ブッチが帰ってきてくれたってことになる。「帰ったぞ」っていうアピールを残してくれていったことになるじゃないか、外ならぬアトリに対して。


「……って、昼間からなにをたそがれているんですか、わたしは」


 ストールを拾い、土埃を払う。


「……大体、ブッチさんにだってプライベートがあるはずなんですよ。【不死者】云々の前に、ブッチさんだって一人の男性であり、一個人であるはずですし……だから、きっとわたしが立ち入っちゃいけない領域とかあるはずで」


 ブッチは今、危ない橋を渡ってくれている最中のはずなのだ。外ならぬ、アトリのために。

 でも、それについて最近どうしても思わざるをえないことがある。


「……ブッチさんは、何故、知りたがるのでしょうかね?」


【異世界】という、未知の領域に対する好奇心があるのは分かる。

 実際、ブッチは【異世界】について真面目に学んでいた。からからに乾ききった砂が水をぐんぐん吸っていくかのよう、アトリが教えることを自分の知識としてモノにしていった。

 カタカナとひらがなも、ほぼ完璧にマスターしている。漢字だって【火】とか【月】みたいに簡単なものであれば書けるようになってきている。

 ちなみに、西部劇の設定にはあまり組み込まれていないけれど、西部開拓時代に活躍し、その名を馳せた無法者アウトローたちは、現代日本でいうところの物知りとかオタクとかで一括りに出来ないようなインテリだったっていう話がある。


「……【OK牧場の決闘】で有名になったドク・ホリディなんて、歯科医免許を持っていたらしいですし」


 そうであったのは、捕まった時に嘆願書とか弁護士を呼ぶための手紙を書くためだったらしいけど。

 ふと思う。そもそも、そういう不慮の事態に役に立つのだろうか? 【異世界】の知識なんて。

 疑うなとは言わない。でも、ブッチに対して不信感を募らせたままってのはどうなんだろう。

 でも、そう思える元凶について、アトリには心当たりがある。しかもそれは、この【異世界】においてアトリに限定される。


 その元凶の名を、ザ・サンダンス・キッドという。


 浅倉アトリという平凡に生きていた少女と、ブッチ・キャシディという無法者アウトローの【不死者】の男。

 本来であればどうあったって運命が交わり合うことのない二人を繋ぎ止める、唯一の楔であり、絆であり、切っ掛けである【存在】。

 だが、今は――

 燦々とした太陽の光を浴びるのは、ロープにかけられた真っ白なシーツたち。けれども、正直言って鬱陶しいばかりでしかない。

 風を受けてぱたぱたはためくそれらは、今のアトリには眩しすぎる。

 そんな、暗澹たる気分に浸っていたお陰だ。植え込みの陰に潜んで様子を窺っていた、奴に気付けなかったのは。

 心身共に馬鹿でかい衝撃をかまされて、洗濯物を全部巻き込む形でぶっ転ぶまで。













 アラン・ピンカートンが専属弁護士のエドワード・ラッカーらと共に設立し、犯罪捜査、駅馬車・列車等の警備、強盗との銃撃戦、賞金がかかった名うての無法者アウトローの追跡・撲滅・捕縛までこなした。

 ブッチが知る限り、それがあらましである。【ピンカートン探偵社】、混沌と無法が渦巻く新大陸フロンティアに誕生した私立探偵を束ねる組織、犯罪者及び無法者アウトローとの武力交戦の手練れどもの。

 伝えられている限り、所属する探偵たちのほとんどが、武闘派だったという。荒事慣れした無法者アウトローどもと互角に渡り合わなきゃいけないのだから、当然なのだけど。

 その中において、チャーリー・シリンゴは最も有名な存在である。なにせ、最大にして最強の無法者アウトロー集団である【ワイルドバンチ強盗団】の構成員を徹底して追跡・捕縛していった――結局、捕まえるという念願が果たせなかったとはいえ、首魁ボスであるブッチ・キャシディをボリビアの地にまで追いやったのだから。

 相当なやり手である。戦闘能力、射撃技巧、犯罪に関する予備知識、情報収集、話術、スパイ活動、囮捜査、尾行・追跡のテクニック――そのどれにおいても。

 それが誇張ではないことを、ブッチは知っている。骨身に染みるどころか、骨髄がシチューになるぐらい。

 とにかく、ブッチにとってシリンゴはそういう存在だ。対峙すれば、畏怖を覚えざるをえない。

 だが、シリンゴという男に関して真におそれるべきなのは――


「おや、どうしました? お喋りが止まりましたね。先程までの威勢のよさは、舌にグリースを塗ったような饒舌は、一体どこへ?」


 鈍器でぶん殴ってやりたい気分だ、外ならぬ自分を。

 一杯食わされた! まんまとしてやられた! 見誤っていた! それも、最初から!

 うかつに動けば絡め取られる、動かなければなんらかの形で動かされて絡め取られる。どちらにしろ、気付けば持っていた策を全て失っていて、結末は破滅しか残されていない。

 シリンゴは、プロだ。そういう搦め手を使うことにかけて。

 その手口は、無駄に知恵の回る無法者アウトローへの対応・対処の絶好の切り札。


「今一度聞きます。お前の他に、一体誰があの場にいたんです?」

「冗談、きついってばね、このクソが……!」


 それでも、ブッチはなんとか悪態を吐きつける。

 もっとも、先程まで持ち備えていた気迫は、擦り消える寸前だ。

 そもそも、かこつけごとにもなっていやしない。


「大体、お前はなんの根拠があってンなことを」

「ほぉう……根拠などというものがあるのですか? 僕の単なる推論に?」

「てめぇ……!」













 だが、ブッチが絡め取られつつある、その一方。

 一体、これはどういうことなのだ? と、シリンゴは胸中で呟かざるをえない。

 何故ならシリンゴは、この時はまだ、なにも知らなかったのだから。常に正しいものであるはずのもの――史実と記録が語ることこそが真実であるはずなのだと。

 大衆が望む夢物語や【英雄】が創造すつくる伝説――虚構じじつなど、所詮ありえないはずなのだと。

 少なくとも、そう思っていた。この時は、まだ。

 そもそも、シリンゴは誘導尋問を行ったつもりなどなかった。単なるハッタリでしかなかった。「お前のことだから、共犯者もしくは逃亡補助をやってくれた相手がいたのだろう」という。

 だが、その一言は結果としてブッチに傷を穿つこととなった。それも、かなり深い傷だ。瞬時にして追い詰めてしまうぐらい。威嚇か牽制であさっての方向に流れるはずだった銃弾が、偶然急所に当たってしまったような――とでもいうべきか。

 シリンゴは喜ぶべきだろう。なにせ、長年追った宿命の大敵が、生きて目の前で追い詰められているのだから。

 機を逃さず、軛くびきにかけるべきだった。けれども、シリンゴはそれを行わなかった――否、出来なかった。【ピンカートン探偵社】が掲げる絶対の法と掟、探偵としての義務、その全てを持ってしても。

 それもこれも、何から何までこんがらがってぼやけてしまってきているためだ。


「答えろ!」


 シリンゴは、ブッチに言葉を叩きつける。

 どこまでが現実に起こり得たことで、どこまでが現実から異なるのか――どこまでが事実でどこまでが虚構じじつなのか。

 その「どこまでが」という境界線が明確な形にならないから、断定することが出来ない。

 あやふやすぎるのだ、全部が全部。

 ブッチを取り巻くこと、その全てが全て。

 だからこそ、シリンゴ思わざるをえないのだ。

 本当は、ブッチは【誰か】と共にいたのではないか? 

 冗談を飛ばし、軽口を叩き合い、喜怒哀楽を共にし合えるような、そんな誰かと。

 本当は、ブッチは【誰か】と共に逝ったのではないか? 

 背を預け合い、緊張を共有し合う、そんな【誰か】と。

 本当は、ブッチは一人ではなく【誰か】と共に笑って最期を遂げたのではないか?

 死すらも互いを分かつことなんて出来ないと信じ合う、そんな【誰か】と。


「お前は本当に、一人だったのか!?」


 そもそも、その【誰か】とは、ブッチ・キャシディにとっての、一体何なのだ?

 シリンゴが知る限り、ブッチの周りには常に誰かしらいた――仲間であれ、部下であれ、協力者シンパであれ、友人であれ、女であれ、敵であれ。

 その【誰か】だって、いたような気がしなくもないのだ。

 そして、シリンゴはその【誰か】を、よく知っているはずなのだ。

 だが、どういうわけか分からない。分からないということが、そもそも分からない。


「答えろっ! ブッチ・キャシディ!!」


 どうしようもない歯がゆさ、消化出来ぬことへの焦燥から、シリンゴはブッチの胸倉をつかみ上げる。

 殴りつけるよう、言葉を叩きつける。


「お前は手に入れたもの、その全てを、ボリビアへ向かう最中に失ったはずじゃなかったのか!? 【ワイルドバンチ強盗団】も、金も栄華も、仲間も部下も女も!」


 勿論、その【誰か】ですらも。


「お前は全部、失ったはずだ! 全部……全部! 全部!! 全部!!! 全部!!!!」


 シリンゴは揺さぶり、決定打をかけようとした。これさえ打ち崩すことができれば、今度こそ本当にブッチ・キャシディを追い詰めることができる。

 だが――


「言いてぇことは、それだけか?」


 青鋼色スチールブルーの目が、シリンゴを見据えている。


「言いてぇことは、それだけか? と俺は言っているのだが、チャーリー・シリンゴ」


 青鋼色スチールブルーの目を鋭く光らせ、ブッチは見据えている。

 シリンゴを――そして、その背後を。

 当てられるのと同時に、首筋を冷たいものがすぅっと伝い落ちていくのをシリンゴは感じた。


「ならば、お望み通りお答えして差し上げようか、チャーリー・シリンゴ。ただし、こちらが則るのは、あくまでも無法者アウトローの流儀だ!」


 シリンゴに対し、ブッチは間髪入れず、言葉を下す。


「これがこっちの答えだ……撃鉄を起こせ! 遠慮なくブッ放せ!」


 それは、文字通り宣戦布告。むき出しになる情動が伴うのは、並外れた闘志と裂帛の威圧感。

 それが、真正面からシリンゴにぶっ叩きつけられる。


野郎どもバモサマタールぶっ殺せコンパネロス!」


 そして、銃声が轟く――







 ――ことは、なかった。


「なァんちゃッてなぁッ!」

「ガッ……!」


 シリンゴは、後頭部を強かに打つ――否、打ち付けられる。衝撃で、視界が真っ赤に染まる。

 決して見くびっていたわけではない。だが、シリンゴに慢心があったのは事実である。

 そうであるがため、シリンゴは間違えた。相手の口さえ開きさえすれば、手段はどうあれ真実を割らせることが出来たはず。

 だからブッチが弱体した際、シリンゴはつべこべ詮索をぶつけることなく、捕縛すべきだったのだ。

 理性を研ぎ澄ませてよくよく考えれば、ブッチの行いはこけおどしでしかなかったのだから。

 命令を下したからといって、誰がシリンゴを撃つというのだ? そもそも、ブッチ以外誰もいないのに。

 要は、ブッチのシリンゴに対する振る舞いは、演技だったってわけだ。

 そういうわけで、シリンゴは謀られた。だからこうして顔面を掴まれ、床に倒され、押さえつけをくらっている。


「きっ、さ……ま!」

 












 騙し討ちで捕らえた相手を、ブッチは睨みつけた。

 新大陸フロンティアに生きる全ての無法者アウトローの敵対者、忌々しき【ピンカートン探偵社】の一員、【ワイルドバンチ強盗団】を崩壊に追いやった存在、かけがえのない仲間たちを失わせた要因――仇そのものを。

 そんな存在を、ブッチは押さえこんでいる。視界に入る範囲内、それも、ありったけの銃弾を至近距離から浴びせてやることが出来る近くに。

 胸の底に、どす黒い熱が灯る。無意識のうち、手は腰の得物へと伸びていた。


 殺してしまえ!


 唐突に、脳内に声が響く。


 そうだ、殺せ! 殺せ! 殺せ!

 殺せ! 殺すべきだ!

 そいつは、敵だ! 我ら無法者の敵だ!

 報復を下せ! 無法者アウトローの誇りと自由を踏みにじる走狗ブタに!


 その声が自分のものであったのか、それとも、別の誰かのものだったのか。

 もし、別の誰かのものだというなら、誰のものだったのだろう? それは、死んでいった仲間たちのか? そうであるなら、ザ・サンダンス・キッドの声が聞こえていたかもしれなくて。


「キッ……」


 刹那、とった行いは、反射的なものだった。

 銃声。

 上がるのは、鉛の咆哮。

 シリンゴの上から飛び退いたブッチの嗅覚が、けた鉛のにおいを捉える。

「チィッ!」と、悪罵を吐き捨てるようにして鳴らされた舌打ちは、意味は違えど対峙し合う同士から同じくして発せられたもの。

 銃声。

 バックステップで距離をとったブッチの耳元すれすれを、銃弾が死の速度で通り過ぎていく。

 立ち上がり、体勢を整えたシリンゴが手にした得物から放たれたものが。


「デリンジャーで、二丁拳銃だとっ!?」


 シリンゴが両手に構えるのは、非常に小さな銃だった。手の平どころか、衣服のポケットに収まるぐらい。

 デリンジャーと呼ばれる銃だ。護身やバックアップ用の、小型の銃である。

 だが、デリンジャーが武器としての本領を遺憾なく発揮するのは――


「今時の【ピンカートン探偵社】は、殺し屋のやり口までスキルにしてんのかよっ!?」


 寧ろ、秘匿性・携帯性に優れるこの武器が、殺し屋御用達の凶器でない方がおかしい。実際、デリンジャーは暗殺用の武器――暗器として、この上なく高い評価を得ている。

 余談だが、ブッチにとっての【異世界】じゃ、アメリカという国におけるリンカーン大統領の暗殺に使用されたことで有名な銃だったりする。

 それはさて置き、恐るべきはシリンゴだ。不意打ちを受けて捕らわれるも、隠し持っていたデリンジャーを抜いて、反撃を仕掛けてきやがった。

 そして、反撃から攻撃へと、行動を移してきていて。

 銃声。

 ブッチは身体を捻り、避け際に得物を抜き、反撃しようとする。

 しかしそれよりも早く、シリンゴは両手のデリンジャーを放り捨て、S&Wモデル2・アーミーを抜いていた。

 銃声。

 がしゃん! と音を立てて、コルトM1851が床に落ちる。


「これで、チェックメイトです」

「ったく、相変わらずいい腕をお持ちなことで」


 淡々と告げるシリンゴに対し、ブッチは軋る声で吐き捨てる。

 右手の感覚がない。着弾の余波のおかげだ。手ではなく、銃把を正確に狙って撃ってくれやがったおかげだ。

 相手の手の銃のみを撃って弾き飛ばす――はっきり言って、並の射撃技巧の持ち主が出来る真似じゃない。


「探偵なんかにゃ勿体ねぇ腕だ。近頃流行りの巡業娯楽団体ワイルド・ウエスト・ショーに転職すりゃあ、花形になれるんじゃねぇ?」

「引退後の勤め先の候補にしていますよ。なれば、刑務所への慰問でお前の顔を定期的に拝みに行く機会が得られるでしょうし」


 なんとなく、思う。シリンゴは、【異世界】でいうところの【ヤンデレ】じゃなかろうか?


「さぁ、どうします?」


 嬲るような台詞を前に、思考を急速回転させる。

 頭は不思議と冴えていた。こんな状況なのに、【異世界】の知識を応用出来るんだから。

 とはいえ、窮地だ。希望が限りなく皆無の。歴然としすぎた射撃技巧を見せつけられた上で、追い詰められているのだから。

 けれども、ブッチにはアドバンテージがある。【不死者】であるということ、いくら銃弾を叩きこまれようとも決して死ぬことのない異常な存在であるという。


「覚悟は決まりましたか?」

「ああ、決まったってばね」


 ブッチは、肩を竦める。


「俺ってば、どうやら負けらしいぜ? だから、潔くご退場してやろうって思ってね」

「なに?」

「察しろよ」


 もう一方の得物を抜く。あまりにもあっさりしすぎた所作だったから、シリンゴは引き金を引けなかった――否、引くのを躊躇った。


「お前、なにを、言って……」


 もう一方の得物こと、S&Wモデル3スコフィールドの留め金を外す。

 銃身が下に折れ曲がり、露出した弾倉から薬莢が排出され、床に落ちて散らばる。

 そして、袖口に隠していた、こういう時のためのとっておきを込めた。

 くるりと回転させ、銃把ではなく、銃身を握る。


「まさか……!」


 ブッチは得物を構え持つ。トリガーガード――引き金を囲う部分に、指が入るように。

 僅かに動かすだけで、差し入れたそれが引き金に当たるように。

 銃身が上を向くよう、銃口が丁度顎に直面するように。


「目ぇ食いしばっとけ」

「馬鹿、よせ! 止めろっ!!」


 銃声が轟く。今度こそ、本物の。

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