第24話 偽ポーション

 次の街についた。

 道中、盗賊は襲ってきたが、リリム達の敵じゃなかったので、もれなくゾンビになってもらった。


 リリム達を冒険者ギルドに置いて、俺は商業ギルドに。

 注意喚起の張り紙があり、偽ポーションに注意と書いてある。

 いい儲けが出来そうだ。

 小銭を儲けるとしましょうか。

 俺は、露店のポーション屋を探した。

 鑑定したところ、偽物を売っているところが5ヵ所。


「おい、そのポーションほんとに効くんだな?」

「もちろんだよ」

「安いな。遠征するのにちょうど良い。全部買おう」

「まいど」


 こんな感じで5ヵ所全部で偽物を買い占めた。


「【賠償】、おお小銭が儲かったな。宿代を払ってもお釣りがくる。スキルもなんかもらえたな」


 追加されたのは、着色と味変と香料スキル。

 偽ポーションはこれで作ってたんだな。

 俺はホクホク顔で冒険者ギルドに戻った。


「シャランラ、空き時間に副業したくないか」

「どんな?」

「ポーションの味ってはっきり言って不味いよな。あれを改善する」

「大儲け。やったぁ。するする。するよ」

「【貸与、着色、味変、香料】。着色で色を変えれば別のポーションぽいだろ。味付けでフルーツ味とかに変えてやれよ」

「フルーツポーションね。個人的にはリンゴ味かなぁ」


 シャランラがポーションを買い込んでせっせと味を変える。


「シャランラ、楽しそうね」

「リリム姉、これこそ錬金術よ。私は今日から錬金術師」

「落ちが見えた。在庫、返品の山」


 メッサが冷ややかに言った。


「大丈夫、これは売れる」


 シャランラは冒険者ギルドに納品するらしい。

 まあギルドなら騙されないからな。

 ポーション1つに付き、大銅貨2枚儲かったようだ。


「意外に儲からない」

「よし、凄腕商人がアドバイスしてやろう」

「あんた、自称商人でしょう」


 リリムの突っ込み。


「水を甘い味に変える。太らない甘味だ」

「それのどこが売れるアドバイスよ」


 またもリリムの突っ込み。


「えっ駄目?」

「太った人を見たことがある?」

「ええと、金貸しだけだ」

「そうでしょ。何をするにも歩かなくちゃ。普通、太ったりしないわ」


 オーノー。

 太らない甘味が駄目なんて。

 ここで諦めたら、商人の矜持が。


「酒だ。酒の味を変えるんだ。安酒を高級酒に変える」

「それなら大儲けね。だけど酒造ギルドに入らないと、大量に酒は売れないわね」

「簡単には入れなさそうだな」

「ええ、酒造設備があることが条件だから」


 くっ、異世界め。

 偽ポーション屋がなんで作っていたのか分かる。

 何かないかな。


「香辛料だ。これなら文句はないだろう」

「香辛料、舐めたことがない」


 シャランラの言葉。

 ええと、何だ簡単じゃないか。

 俺が作ってシャランラに食わせてから作らせれば良いんだ。


「スキル返してもらうぞ。【味変、胡椒】【香料、胡椒】。舐めてみろ」


 俺は塩を胡椒味に変えた。


「くっ、ピリピリする。こんなのが美味いの」


 俺はギルドの酒場の厨房に入り塩胡椒で野菜炒めを作った。


「うわっ、美味しそうな匂い」


 リリムは匂いを嗅いだだけでうっとりした。

 3人はバクバク野菜炒めを食った。


「これなら高値で売れるかも」


 シャランラのお墨付きが出た。


「なんか楽しそうね」


 プリシラがやってきた。


「お前も野菜炒め食うか」

「ええ。あら美味しい。食べたことのない味と香りね」

「スキルで作った調味料だ。この世界にはないかも知れない」

「そうなの」


 プリシラの目が光った気がした。


 ワサビ、胡椒、醤油もどきは高値で売れた。

 シャランラもご満悦だ。


 他にもないのと言われたが、飽きられたら新たな味をだすぐらいがちょうど良い。

 グルタミン酸とか、マヨネーズとか、ケチャップ、他にも色々ある。

 ちょっとマイナーな香辛料もかなりあるからな。

 俺は当然味を知っている。


 男が料理を趣味でやり始めると香辛料とか一通り揃えたくなる。

 だから味と香りも知っている。


 異世界で香辛料を使って儲けるのは鉄板かな。

 そう言えば甘味は貴重じゃないのか。

 ああ、はちみつを売っていたな。

 露店でちらほら見た。

 高値じゃなかった。

 異世界の花はでかかったのを思い出した。

 1メートルはあるのもざらで、モンスターなんだが、大量に蜜がありそうだ。

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