第22話 ボーナス

「よく考えたら担保を別の物にしたい。剣を返してくれ」

「えっ」

「ここに預かり証があるんだが」

「け、剣はない」

「そうか、じゃあ金貨1万枚払ってもらおう」


「き、金庫の金貨がありません」

「な、なんだと」

「さあ、払って貰おうか」


「死ね!! 殺してしまえ」


 金貸しの声に魔力が乗っていたが、レジストされてあっけなく散った。

 用心棒と借金取りがわんさか出てきたが、こんなのは蟻ほどの強さもない。

 全員簡単に倒した。

 そして、その場を後に。


「【賠償】。ふん、小銭が少しと。ステータスオープン」


――――――――――――――――――――――――

名前:ウメオ・カネダ

レベル:99

魔力:9999/9999

スキル:

  賠償

  聖刃 勇心 身体強化

  堅牢 鉄皮 剛力

  空間魔法 火炎魔法 氷魔法

  治癒魔法 加護 聖域

  自己再生 暗黒魔法 次元斬 超身体強化

  隠蔽 幻影 鋭刃

  乗馬

  毒魔法 隠身

  鷹目 狙撃

  恫喝 貸与

  身体強化 鋭刃

  咆哮

  身体強化

  気配察知

  幻影

  身体強化

  鑑定

  身体強化

――――――――――――――――――――――――


 恫喝と貸与は金貸しのスキルだな。

 身体強化は用心棒と借金取りのだな。

 身体強化がこんなにたくさんあっても要らない。

 貸与スキルはスキルを貸せるらしい。

 これで貸せば良いのか。

 金貸しは恫喝スキルを手下に貸していたに違いない。

 いやぁ、良いスキルが入った。


 俺は商業ギルドへ行くと、受付嬢に話し掛けた。


「借金の担保に剣を入れた。借金はチャラになったが剣を返して貰えない。預かり証が不良債権になって困っている。この街の金貸しなんだが、預かり証をギルドに売りたい」

「拝見いたします。預けているのは金貨1万枚相当の剣ですね」

「間違いない。はやく、次の街へ移動したいが、ほんと困っているんだ」

「分かりました。金貨8千枚で買いましょう」

「それでいい」


 ふふふっ、さらに儲けたぞ。

 あの金貸し、ギルドが相手だと店を確実に取られるな。

 ざまぁ。


「今回は大儲けだから、金貨100枚を渡す」


 そう言って金貨がずっしり入った袋を少年に渡した。


「いいの」

「おう気兼ねなく貰っておけ」


 俺は少年と離れ、冒険者ギルドに戻った。


「嬉しそうね」


 リリムにそう言われた。


「ボーナスを支給する集まれ」

「えっ良いの?」


 リリム達が集まった。


「【貸与、身体強化】」


「ステータスオープン。うそっ、身体強化が増えている」

「私、既に身体強化をふたつ持っているんだけど」


 メッサのアクティブ身体強化はふたつもっているからか。

 じゃあ俺も加算できるのかな。

 それは良いことを聞いた。


「じゃあ乗馬を貸してやる。【貸与、乗馬】」

「ゴーレム馬を戦闘時にも貸してくれるの」

「もちろんいいぞ」


「私は魔法使いだから、身体強化貰っても」

「火炎と氷魔法のどっちがいい?」

「ええと緑魔法だと氷かな」

「【貸与、氷魔法】。ステータスオープン」


――――――――――――――――――――――――

名前:ウメオ・カネダ

レベル:99

魔力:9999/9999

スキル:

  賠償

  聖刃 勇心 身体強化

  堅牢 鉄皮 剛力

  空間魔法 火炎魔法

  治癒魔法 加護 聖域

  自己再生 暗黒魔法 次元斬 超身体強化

  隠蔽 幻影 鋭刃

  毒魔法 隠身

  鷹目 狙撃

  恫喝 貸与

  身体強化 鋭刃

  咆哮

  身体強化

  気配察知

  幻影

  身体強化

  鑑定

――――――――――――――――――――――――


 貸与したスキルは消えるのだな。

 おっ、プリシラが帰ってきた。


「お疲れ様。通信魔法で何を話したんだ?」

「定期連絡よ。いまオフだけど、地域の情報を報せて欲しいらしいわ。噂話とか色々と伝えたの」

「誰に?」

「ギルドマスターによ。喜んでいたわ」


 ギルドマスターがどこかと癒着しているのか。

 この話が本当なのか分からない。

 ただプリシラは殺し屋でないような気がする。

 俺の強さや弱点を探っているのかも知れない。


 リリム達は俺が貸与したスキルに頼るようになると、裏切った時にはく奪されて弱体化する。

 弱みを握ったのも同然だ。

 これからも要らないスキルがあれば、折を見て貸与しよう。


「魔王領、復興のために金貨1万枚、寄付したい。言っておくが復興以外に使って貰っては困る」


 受付嬢にそう言って樽に入った金貨を出した。


「はい、冒険者ギルドの威信に掛けましても」


 俺は受け付けから離れて、賠償スキルを使った。

 前の寄付金が正しく使われているかチェックしたかったからだ。

 金は戻ってこなかった。

 ギルドはちゃんとやっているらしい。


「ほんとお金持ちよね」


 プリシラの羨ましそうな声。


「金なんか意味はない。ただのゲームの点数みたいなものだ」

「どんなゲームなのかな」

「正直者が勝つゲームだ。ゲームマスターは神がやっているのだろう」

「へぇ、それじゃ不正は出来ないわね」


 金なんかに意味などはない。

 そのうちスキルも意味がなくなるだろう。

 レベルさえ意味がない。

 カンストだからな。

 俺より上の存在は神しかいないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る