第16話 遺跡でレベル上げ

 ゾンビの一団を連れて遺跡に入る。

 ゾンビの手には鉄ノミが握られていた。

 どこで調達したかと言えば、鉄ノミは立ち寄った近隣の村々で買い上げたのだ。


 ストーンゴレームがドスンドスンという足音を立てて現れる。


「ゴレームを削れ。潰されるなよ」


 ゾンビが鉄ノミを持って突撃する。

 何度もやって、やっとひとつゴーレムの欠片が削られた。


「【邪回復魔法】、魔力なら腐るほどある。おいそこ潰されるなって言っただろう。【邪復活魔法】」


 邪復活魔法はどんな状態でも甦る。

 ただしアンデッドになってだが。


 暗黒魔法らしい魔法だ。

 過去には死んだ勇者パーティを魔王が蘇らせて、4天王にしたとの記録もある。


 ゾンビに使うには勿体ない魔法だ。

 魔力も1000は持っていかれる。


 ゴーレムの片足が削られて、砕けた。

 もうゴーレムは立てない。

 そのあとはなぶり殺しだ。


 死霊魔法師が恐れられているゆえんだ。

 スキルのことだが、死霊魔法は下位スキル。

 死霊魔法だけだと、死霊魔法しか出来ない。

 暗黒魔法は最上位スキルなので、色んなスキルを含んでる。


 勇者が持っていた聖刃も上位スキル。

 鋭刃、浄化、改心攻撃、充填スキルなど含む。

 聖刃として使うとそれらがミックスされ使用される。

 もちろん、消費魔力は大きい。

 鋭刃の20倍ほどだろうか。


 ストーンゴーレムのレベルは20はあるので、ゾンビのレベルがみるみる上がった。

 だが、さらに深い所のアイアンゴーレムは鉄ノミでは無理だな。


 浅い場所だけでレベル上げしよう。


「ゾンビがもっと強ければ一攫千金なのに」


 リリムの欲望が溢れた言葉。

 俺なら容易いとは言わない。

 金ならもうあるんだよ。

 古代魔道具もある。


 遺跡探索の必要性はない。


「リリム、鍛えたかったら手を貸すぞ」

「無理よ。ストーンゴーレムも無理なのに、アイアンゴーレムはもっと無理。噂では遺跡の奥にはミスリルゴーレムがいるらしいわ」

「ストーンゴーレムなら何とかなるかもな。石を削る魔道具があるぞ」

「やめておくわ。潰される未来しか見えない」


「今日はゾンビの監督はしなかったが、ストーンゴーレムの魔石と核をやろう」

「えっいいの高いのに」


 その時、アイアンゴーレムが現れた。

 遺跡に踏み込み過ぎたみたいだ。


「みんな下がれ。【次元斬】」


 聖剣の一振りで、アイアンゴーレムは両断された。


「凄い。アイアンゴーレムが一撃。ねえ、あなたなら遺跡の奥にも到達できるんじゃない」

「できるがやらないぞ」

「意地悪ね」


「リリムはお家再興の計画を考えた方がいい。そのために必要なことなら迷わずにやるべきで、必要ないことなら打ち捨てるべきだ」

「私……」

「なんだ言ってみろ」

「心の中ではお家再興を諦めてたのかな。なにも考えてなかった。漠然と金を集めて、ギルドランクを上げる。それじゃ駄目なのね」

「そうだな」

「まずは、父の忠臣だった人達を集めたい。代替わりしてるかもだけど」

「人から集めるか。人を使うのは器が試されるぞ」

「ええ、覚悟してる」

「そういう人達がどこにいるのか分かっているのか?」

「メッサの祖母が侍女頭だったの、まだ手紙のやりとりがあるらしいわ」

「じゃあ、問題ない程度にその人達の所にも寄ろう」

「ありがとう。お金が要るわね。それも大金が」


 リリムはお家再興が出来るかな。

 カリスマが足りない。

 財力も足りない。

 何もかもが足りない。


 お家再興を辞めろとは言わない。

 何となく面白いからだ。


「金を稼ぐ計画とやらを聞かせろ」

「盗賊狩りをしましょう。ゾンビのレベルアップもできるし、あなたの損にはならないわ」


 俺を上手く使おうというわけだな。

 だが俺への利点がある計画だ。

 ゾンビが増えるし、レベルアップもできる。

 街道が安全になるのは良いことだ。


 殺すべしの中に人を含めると、まず上がるのが盗賊。

 盗賊は街道という血管に巣くった寄生虫。

 ただ、アジトを突き止めるのは容易ではない。

 普通ならと但し書きがつく。

 洗脳魔法をもっている俺なら、生き残りが一人いればいい。


 リリム達の戦闘も見ておきたいしな。

 Cランクだそうだから、オークとタイマン張れるぐらいの実力はあるに違いない。


 俺達は馬車の後ろに荷馬車を連結。

 そしてそこにアイアンゴーレムを解体した物を乗せた。


 金属を扱う商人に見せるためだ。

 金属は腐らないから、盗賊が狙う可能性大だ。

 ゴーレム馬の資産価値も高い。

 襲ってくるはずだ。

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