賠償スキルで、『最強無双』と『ざまぁ』します~魔王との戦いで逃げる時に勇者達に生贄として置いて行かれたので、賠償スキルでみんな奪ってやった~
喰寝丸太
第1部 復讐編
第1章 出会い編
第1話 魔王対勇者
俺達は魔王城の前に立った。
俺の名前は
サラリーマンだった。
突然次元の狭間に落っこちて、神から謝罪された。
地球の時間がもう10万年ほど経っているらしい。
元には戻せないと言われた。
謝罪は貰っておくけど、見返りを寄越せ、賠償を要求すると言ったら、いいだろうと言われて異世界に放り出された。
賠償スキルを付けられてだ。
この時のステータスはこうだった。
――――――――――――――――――――――――
名前:ウメオ・カネダ
レベル:1
魔力:0/0
スキル:
賠償
――――――――――――――――――――――――
さっそく神に賠償を請求したら、賠償スキルが賠償だからもうやれないと返事が。
賠償スキルの活躍の場は少ない。
不良品をつかまされた時とかに、返品して貰えない場合とかに使えるだけだ。
賠償スキルで、買った分のお金を貰って、更に慰謝料が少し貰える。
調達係にうってつけの能力だ。
俺は勇者パーティからスカウトされた。
賠償で小銭を稼ぎながら、勇者パーティの雑用係をやっていたそんなある日。
勇者パーティが王城に呼ばれた。
魔王を討ち果たせと言われ、俺達は魔王城へ旅立った。
騎士の何十人かが重い城門を押す。
不気味な軋みを上げて城門が開く。
入った庭は荒れ果てていた。
だが、モンスターの影はない。
城の中で待ち構えているのか。
城に踏み込む。
そこにはモンスターの足跡が一面にあった。
「おい、雑用係、先に行け。トラップがあるかも知れないからな」
トラップに引っ掛かってもたぶん賠償スキルは発動するだろう。
俺はそんなことを思いながら先導した。
城の見取り図は頭に入っている。
待ち構えるなら謁見の間だな。
それこそが魔王に相応しい。
即死でなければ生き残れる自信がある。
俺は軽い足取りで進んだ。
モンスターがいないな。
四天王とか出てくるシーンじゃないのか。
俺達は謁見の間に踏み込んだ。
所々破れてどす黒い染みがある絨毯を歩く。
魔王は玉座に座っていた。
玉座が子供の椅子に見える巨体だ。
頭にはねじくれた二本の角。
端がボロボロのマントを身に着けている。
腰蓑は毛皮だ。
上半身は裸で盛り上がった筋肉が見える。
肌の色は赤。
強そうだ。
「く、く、くっ、わざわざ邪神様の生贄になりにくるとはな」
「観念しろ魔王。お前の悪行もここまでだ」
そして戦闘が始まった。
俺はポーションを補給する役目なので、後ろで待機。
「【聖域】。これで魔王は弱体化したはず。【加護】、ウェイ、あなたが頼りよ」
「【空間魔法、千切れろ】」
魔法使いのイヤミィが魔法で空間を引き裂いた。
「ふん、【次元斬】」
「うそっ、空間魔法が逆に切られるなんて」
次元斬の余波はウェイを襲った。
「がっ」
ウェイの片腕は斬り飛ばされた。
「大変、エリクサーを【治癒魔法】」
ウザリが魔法を掛けたが欠損部位は戻らない。
俺はエリクサーをウザリに手渡した。
魔王はニックと対峙している。
「ふんっ、ぬるい」
ニックの大盾が魔王のキックで凹んだ。
ニックは飛ばされバウンドして止まった。
ウザリが駆け寄る。
「ぐはぁ」
ニックが血を吐いた。
「【治癒魔法】。マナポーション頂戴」
「はい、ただいま」
「【治癒魔法】。大変、ウェイがまた手を飛ばされた」
イヤミィが魔法で援護するが、魔王の片手で握り潰された。
俺は気づいてしまった。
魔王は遊んでいるな。
だって、次元斬とやらは空間ごと斬る技と思われる。
防御不可なんじゃないか。
それに潰すなら回復役からだ。
勇者パーティは魔王になぶられている。
そう見える戦いだ。
それから何度も勇者は腕を切り飛ばされた。
タンクのニックは何度も骨折して血を吐いた。
魔法使いのイヤミィは放つ魔法全てを片手でもみ消された。
忙しく動き回る僧侶のウザリ。
欠損部位が治せるエリクサーの在庫が尽きて勇者の心は折れた。
ウェイの動きが止まった。
「ふっふっふ、見逃してやってもよいぞ。誰かひとり生贄に奉げればな」
魔王が取引を申し出た。
なんの為に。
「くっ、ウメオ。後は頼んだ。イヤミィ転移魔法だ」
「分かったわ。私達が生きていれば負けじゃない。【転移魔法】」
えっ、俺を置いて行くのかよ。
ちょっとそれはないんじゃない。
仕方ない。
賠償を取るけど、自業自得だからな。
「【賠償】。おお勇者パーティからスキルと経験値が入ってくる。それに装備も貰えた。ステータスオープン」
――――――――――――――――――――――――
名前:ウメオ・カネダ
レベル:47
魔力:1048/1048
スキル:
賠償
聖刃 勇心 身体強化
堅牢 鉄皮 剛力
空間魔法 火炎魔法 氷魔法
治癒魔法 加護 聖域
――――――――――――――――――――――――
聖剣を装備して俺は構えた。
「ふっ、パワーアップしたようだが、我に敵うかな」
「やってみるだけだ。【聖域】【剛力】【加護】、そして【聖刃】だぁ」
「ぬるい」
俺は片腕を切り飛ばされた。
まあそうなるよね。
ウェイも敵わなかったのだから。
でも俺はウェイと違う。
賠償スキルがある。
「【賠償】、ステータスオープン」
――――――――――――――――――――――――
名前:ウメオ・カネダ
レベル:47
魔力:985/1048
スキル:
賠償
聖刃 勇心 身体強化
堅牢 鉄皮 剛力
空間魔法 火炎魔法 氷魔法
治癒魔法 加護 聖域
自己再生
――――――――――――――――――――――――
よし、自己再生ゲット。
これでよほどのことがない限りは死なないはずだ。
しかし、俺は何で魔王とタイマンしているのかな。
もっと楽に生きていけたはずだ。
だが、生き方の全ては俺の怠慢が招いたこと。
誰かに賠償する筋合いでもない。
俺は二年前に思いを馳せた。
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