ぬいぐるみ

jo-ro

ぬいぐるみ

 首を吊っている僕の前で「もう少しでとれそうだね」「とれそうでとれないからやめときなー」「あーーー、おしかった」「アーム弱すぎだろ」老若男女の人々が通時的に会話を広げている。もう長い間、人が寄ってきて離れていって、顔を近づけてシカトして。僕は一体誰の家に行くのだろうか。クレーンゲームの景品であるクマのぬいぐるみは自分自身が誰であるのか、ここはどこであるのか、そんなことには興味がなかった。ぼーっと真っ直ぐを見ているだけ。目があるため真っ直ぐを見ているが決して何かを見ようとしているわけではなく、何かを見ないようにしているわけでもなく、ただ布に目が二つ付いていることにあり零でも一でもなく、表でも裏でもなく、ただその状態であるわけでもないわけでもなかった。表裏一体すらないこの状況をぬいぐるみは時間の経過を感じさせてくれる理由だと考えた。クマのぬいぐるみは昨日見た文章によって構成されている夢を思い浮かべた。

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ぬいぐるみ jo-ro @jo-ro

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