暗い日曜日

氷百芽ウテハ

嬉しくて悲しかった。学校に行かなくてよくなったこと。自分には荷が重かった生活から開放された喜びの下には、普通の人間ではなくなったような寂しさがあった。

今まで一緒にいた人達が、走ってきた人達が、先へ行ってしまった。私は取り残されてしまった。私が見ていた光の中へ、皆消えていってしまった。

もう、あの光は掴めそうにない。

光を失ってしまった。

今日から毎日、日曜日。

なんて暗い、日曜日。

私は暗闇の中では考え事をするのだ。何故ならば、暗闇の中で手に取った石が、光のもとで輝く宝石と成ることを、私は知っているから。

いつか、暗い日曜日に朝焼けが差す時に、私の腕の中に光が灯るように。

私は暗闇の発掘家になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る