第6話
「あー……散々な目に遭った」
あの後、報酬の件で俺は全報酬を3人に押し付け先に帰った。
ああいうのは上級の方々でやってくれと言いたい。
「結局狩りは邪魔されちまったな……武器もボロボロだし、参加損だぜ…」
だがⅭ級相手にそこそこ戦えたところ、着実に実力が上がっているという事に留めておくとしよう。ただ、武器が破損してるから修理に出さないといけない為、狩りに行けない。まぁ探索者ギルドで昇級試験があれば、それを受けて、運が良ければF級からE級に上がれるかもしれないな、知らんけど。
「とにかく、さっさと帰って寝るか……」
*
翌日、昼食を終えた後にチャイムが鳴る。
こんな朝早く誰だと俺は渋々玄関の扉を開けた。
「やっと見つけたぞ!いきなり帰るとは酷いぞ!!」
舞だった。あれから何があったかは知らないが、相当機嫌が悪いようだな。
「何の用だ?今日は武器を修理に出しちまってるから狩りはしないぞ?」
「そうか……。ってそれではない!!」
「何だ?配信してるならバズりのへったくれも無いだろ?」
「それは問題ない。だが、言いたいことはそれでもない。汝にとって重要な話だ」
へぇ?重要な話ねぇ……
「先ずは……単刀直入に言おう。余のPTに入り、今後組んでくれぬか?」
あースカウトしますって話?それはかえって自分の首絞めない?
「何やら、余の評判を気にしてるようだが、あんなものに縛られては探索者などできぬよ。所詮は己が利益にしか頭にない、俗物の考えじゃ」
「なら、俺も俗物に入るんだが?」
「汝のような奴が俗物なわけないだろう?なら昨日、何故報酬を持って行かんかった?おかげで3人で分け合うのに骨が折れたぞ」
「俺は、俺の行動で得たものにしか興味がない。どうせ取られるしな」
そう言って話を続けてると、舞の後ろからもう一人の少女が来ていた。
「あのぅ……ここが噂のお宅ですか?」
「ん?」
こいつ……あの時、迷子になっていた子じゃないか?
「どうしたんだいお嬢さん?」
「え、えーと。今日、これを渡しに来ました。お礼を渡し忘れちゃって……」
おおう、なんて律儀な子なんだ。
「
「知っておるのか?」
「知ってるも何も、この日本じゃ有名な大企業で、探索者ギルドとの長く太いパイプを持つやべぇ企業じゃねぇか!」
手紙を貰ったのはいいが中身は……スカウトだって!?
嘘だろ、今日は2方面からスカウトは予想外!普通なら喜ぶ方だが、俺ってそんなすごい能力はないぞ!?
「ぬぅ……大企業如きが余の相方を奪うか…!」
「いや、いつから俺がお前の相方になった?」
しかしどうしようか……一応、こう言っておくか。
「いや、お嬢ちゃん。企業のお偉いさんにこう伝えて欲しい。それは節穴だからお断りいたしますって」
「わ、分かりましたぁ!」
そう言って少女は去っていく。
「ふむ、余を選んでくれたか!」
「誰が選ぶか!」
俺は荷物を持って外出する。
舞までついてきてるが。
*
ここは探索者ギルド。此処では昇格試験や戦利品の売買もできる場所であり、多くの企業がこのギルドと契約を結んでいる。
切っても切れない関係となってしまっているため、どの企業もこいつからは目を離せない。
「昇格試験ですね!いつから行うのでしょうか?」
「出来れば、今からじゃダメか…?」
「かしこまりました。あちらのゲートをくぐって、特定の試練をクリアすれば昇格となります」
うっし、張り切っていきますかね。
昇格試験では自分が持ってきた武具は一切使えない代わりに支給された武具を使って試験をやるのが常識だ。
「俺が貰ったのは……ブロードソードか。懐かしいな」
まだ、ニートと呼ばれる前に持っていた武器だ。まぁ途中で折れて手斧にしたが、剣の方がしっくりくる。
「さぁて、始めますか!」
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