第21話 因縁の再会を果たす格ゲーマー
「さぁトーヤ様! 是非お城までご一緒に」
「えっと、本当に行くのか?」
「シャルロット殿下。その、私もこの男は城に顔を出すにはふさわしくない気がするのですが」
盗賊から救出したシャルロットを街まで送り届けたトーヤとキャミーであったが、シャルロットはその足で城まで来て欲しいと懇願してきた。
だがトーヤとしては気乗りがしない。なにせ召喚された時にトーヤは城で大暴れしてしまっている。正直今顔を出しても碌なことにならない気がしてならないのだ。
一方でキャミーにとっても不安でしかなかった。トーヤは一国の姫であるシャルロット相手でも遠慮なくコボりたい、つまりボコボコにしていいか? などと宣っている男だ。城になど連れて行っては何をしでかすかわからない、と考えている。
もっともトーヤはとっくにやらかした後だが。
「貴方には聞いておりませんわ。それに私はトーヤ様だけ一緒に来てくれればそれでいいのです。貴方はお呼びじゃないのです!」
シャルロットがキャミーに向けて言い放ちキャミーは頭を抱えた。勿論キャミーとしてはこの件はさっさと終わらせたくて仕方ないのだ。
だが現状キャミーはギルドマスターに言われトーヤと行動を共にしている。トーヤのお目付け役みたいなところもある為、ここでお別れし、はいそれまでとはいかないのだ。
これでもし好きにさせてトーヤが城で失礼を働いてはキャミーの責任にもされかねない。
「それではとりあえず一回ギルドへ戻らせてもらえませんか? 依頼を完了した事を報告する必要があります」
「そんなものお前がやっておけばいいのです」
「今回の依頼は、二人で受けてますのでそういうわけにはいかないのです。どうかご理解ください」
「むぅ、トーヤはどうなのですか? 早くお城に向かいたいですよね?」
「……いや。俺も先ずはギルドに向かうべきだと思うぞ。ほうれんそうは大事だからな」
うんうんとトーヤはうなずいた。もっとも城に行きたくないが故の言い訳に過ぎないわけだが。
「うぅ……はいトーヤ様がそう言われるのでしたら――そうと決まれば急ぐのですボヤボヤしない!」
「クッ、わ、わかりました――」
シャルロットにせつかれキャミーはつかれた顔で答えた。そのままギルドへと足を向けトーヤとシャルロットも後に続いた。
こうしてギルドにたどり着いた三人だったわけだが――
「だから! この男が冒険者ギルドに入っていったのを見た人がいるのよ! とっと出しなさい」
「まぁまぁ落ち着いてください殿下」
「これが落ち着いていられるか! いいかこの不埒な男はよりにもよって姫様の服を破りあられもない姿を晒したのだ! ギロチンに掛けられても文句は言えんのだぞ!」
三人がギルドに入ると何やら揉めている光景が目に入った。見ると屈強な鎧姿の騎士と高飛車そうなら少女がギルドマスターのガイルに詰め寄っていた。
「何だこれは? 一体どうなっているのだ?」
「あ、あれはまさか! お姉様!」
怪訝そうなキャミーの横でシャルロットが叫んだ。お姉様? とトーヤの視線も自然とそっちに向く。
「へ? お姉様って、しゃ、シャルロット! て、横にいるのはあの不埒男ぉぉぉぉおお!」
シャルロットに気がついた少女が叫んだ。その叫び声を聞きトーヤが、あ、と声を漏らした。そうそこにいたのはまさに城で大暴れした際に脱衣KOをかましたアルマナ姫その人だったのだ――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます