部活動編


「すーちゃーん、早く部活行こ〜」

「う、うん。今行くね!」


スタマに行った次の日の放課後、私は姫宮さんと一緒に数日ぶりに料理部に行くことにした。一応部活動見学後、入部届けは出したんだよね。調理室に着いた私たちはドアを開けると、そこにはもう先輩たちが何人かいた。


「あれ、姫宮ちゃんに中西ちゃん!部活しに来てくれたの?」

「は、はい!今日はよろしくお願いします!」

「あはは、そんな緊張しなくてもうちの部活は『上下関係なしで仲良く』がモットーだから大丈夫だよ」


そうは言われても部長、小学校や中学校とかと違って高校は上下関係をハッキリと実感してしまうんです...


「ま、そんなことはいいとして...時間になったら説明するけど、今日は簡単なスイートポテトつくるから、今のうちにエプロンとか準備しといてね」

「わ〜、楽しみだねすーちゃん」


おぉ、今日はスイートポテトを作るらしい。確かに前見学した時に冷蔵庫にさつまいも結構あったから、消費しなきゃだもんね。とか思ってると姫宮さんがもうエプロンに着替えてる。


「え!姫宮さんのエプロンって...!?」

「んふふ〜、実はこの日のために新調したんだ〜。すーちゃんこの柄好きそうじゃない?」

「好きそうっていうか...私も同じの買ったんだけど!?」


なんと私と姫宮さんのエプロンがダダ被りだった。


「意図せずお揃いって、私たちすごく相性いいって事かな〜?」


「相性がいいどころかこれはもう凄すぎるよ!」とかはしゃいでると部長から召集がかかる。私たちが話してる間にみんな集まったようだ。


「はい、じゃあ今日は平日の部活なので、時間がそんなにかからないお菓子作りをします。一応スイートポテトを作る予定だけど大丈夫かな?」

「「「はーい!」」」

「じゃあ作り方を説明する紙みんなに配るからそれ見ながら3人1組で、アレンジなりなんなりして作ろー」


部長の話を聴き終わった私たちは材料の準備をして、レシピを見ながらお菓子作りを始める。ちなみに姫宮さんと部長が私のグループだ。


「じゃあまずは3人でさつまいも1袋分を洗って乱切りにするよ!」

「部長〜、なんで春なのにさつまいもこんなにたくさんあるの〜?」


確かに。姫宮さんの言う通りさつまいもと言えば秋なのに、こんなにたくさん春に使うってどういうことなんだろう?


「実はさつまいもって秋に収穫して数週間熟成させるんだけど、春まで熟成させるとすごく甘くなるんだよね。うちの園芸部が栽培してるんだけど、熟成にこだわっていて秋は中々さつまいもをくれないのよ...」


なるほど、確かに前回姫宮さんからもらったさつまいもマフィンは、さつまいもの味がしっかりしていて美味しかったな。


「部長、次何しますか?」

「んー、中西ちゃんと姫宮ちゃんで切ったやつ水で茹でてくれるかな?竹串が刺さるくらいなったら茹で終わりの目安かな」

「わかりました!」


直ぐに茹で終わったから部長を呼ぶと部長がすり鉢を用意していた。


「あ、切ったさつまいも潰すからすり鉢に入れちゃっていいよ。その間に紙に書いてあるやつやっといてー」


さつまいもを潰してくれるらしいから私達はレシピに書いてある材料のバター、砂糖、溶き卵、生クリーム、バニラオイルを混ぜる。先輩から続々とすり潰したさつまいもを渡されるのでそれも混ぜていく。


「できました!」

「お、じゃあ中西ちゃんは混ぜたのを成形してアルミカップに乗せて、姫宮さんは乗ってったやつからつや出し用の卵黄塗ってくれるかい?」


そのままあっさりと成形が終わってオーブンで焼き始めた私達は、雑談を始める。


「中西ちゃんと姫宮ちゃんは高校入って好きな人できた?」

「え!?えっとぉ...そのいないかなぁって...」

「姫宮ちゃんは?」

「...いいなぁ、と思う人は出来たかもですね〜」

「「「「!?!?」」」」


みんなは、姫宮さんの一言に一斉に驚きを露わにした。姫宮さんは、穏やかな表情で言ってるけど爆弾発言すぎないか...?


「え、あの高嶺の花である姫宮ちゃんが気になる子だって!ここだけの話でいいから少しだけ教えてくれたりしないかい?」

「ナイショですけど〜先輩だけ少し耳を貸してください」

「ん、なになにー」

「じつ...あーちゃ...とおな...ひとなんです」

「......え!?」


なんだなんだ?あーちゃんって聞こえたから天音さんが関係あるのかな?それともまさか天音さんの事が!?それだったらめっちゃまずいぞ...


「あ、姫宮ちゃん中西ちゃんスイートポテト焼けたみたいだよ!」


うん、一旦忘れよう。楽しみにしていたスイートポテトも焼けたし、いざ実食タイムだ!


「わ〜、美味しそうに焼けたね〜。はいすーちゃん、あ〜ん」

「え!?」

「ほらすーちゃん早く早く〜」


「姫宮さんにあーんされるなんて私前世でどんだけ徳積んだんだろ...」とか思いながら食べさせてもらう。


「ん!すごい美味しい!」

「じゃあすーちゃんも私に食べさせて〜」

「え、ちょ」


恥ずかしさを抱えつつも、姫宮さんに料理を食べさせた。すっごい嬉しそうだし、リスみたいで可愛いなぁ。


「すーちゃん、これあーちゃんと妹ちゃんに包んどこっか〜」

「あ、そうだね。先輩はもう食べなくていいんですか?」

「あげる相手もいないし全部もってっていいよ」


そうして私たちは天音さんとゆら用にスイートポテトを袋に詰めた。片付けも終わったし帰る時間になった私は、姫宮さんに少し用事があるからと言って1人で帰ることにした。本当は天音さんと顔を合わせるのが気まずいだけなんだけどね...


そうして今日の部活動が終わった。ちなみにゆらは持ち帰ってきたスイートポテトをすごい喜んで食べてくれた。




あとがき

こんにちはツナ缶です。更新遅くなって本当にすみません。今月は少し不定期になるのでそこだけよろしくお願いします。いいねや星ありがとうございます。間違いあったら教えてください...

次回もお楽しみに!

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