松明さんの除霊記録 〜 霊には炎で物申す~

ムタムッタ

① 肝試しの誘い



「はぁ、はぁ……なん、で! なんで点かないんだよ⁉︎」

「縺雁燕縺ョ霄ォ菴薙r繧医%縺」


 学校の友人たちと訪れた神社。

 夏休みに刺激を求めた俺たちは、夜になると「出る」と噂のそこへ遊びに行った。


「縺雁燕縺ョ霄ォ菴薙r繧医%縺」


 暗闇にうっすらと浮かぶ人影。

 不定形で輪郭はぐにゃぐにゃと動いていてはっきりしない。


 こんなことなら松明まつあきさんの言う事聞いときゃよかった──



 ◇ ◇ ◇


 

「肝試しぃ?」

「今はホラー系の動画がバズってんだよ~。ほら、あの神社行ってみようかなって」


 夏休みを間近に控えた俺――黒森一平くろもりいっぺいは、趣味で動画配信をしている渡辺わたなべと休みの予定を話していた……のだが、渡辺は動画のネタに困っているらしく、ホラー路線に行きたいようで。


 学区内にある神社に幽霊が出るという。

 そこは境内までちょっとした森になっており、確かに夜は鬱蒼としているところで、地元の人間も暗くなったら近づかない。


「どうせ野良猫かなんかだろ」

「いや! あの神社はマジでらしい」

「なになにイッペー、何の話?」


 オカルト談義に友人の川村かわむらも混じって来た。ビビりなわりに怖いもの見たさでホラー映画を見るような変わった奴である。


「学校の近くの神社あるだろ? あそこに幽霊が出るってさ」

「ホント⁉ 見てみたいな!」


 脊髄反応である。

 そのくせ怖いとビビって動けなくなるのだから面倒なのだ。去年もキャンプで怪談したらトイレに付き添うことになったし……


「じゃあさ、3人で今日の夜行かね?」

「いこいこ!」

 

 勝手に話が決まってるな……まぁ暇なんだけど。

 集合時間を合わせようと口を開いた瞬間、男子3人の談話に冷たい声が差し込まれた。


「やめといた方がいいよ」

「え……?」


 背後から凛とした声。

 びっくりして3人が3人ともその声の主を見る。クラスメイトの松明まつあきさんだった。普段は男子に絡んでこない彼女なのだが、珍しい。


「あの神社、素人が近づくと危ないから」

「素人って……松明さん詳しいワケ?」

「別に……」

「もしかして松明さんも一緒に来たい?」


 渡辺と川村がチャンスとばかりに松明さんへ絡む。黒いストレートの長髪と眼鏡が似合う彼女は、学校でも人気の女生徒なのだ。


「そんなわけないでしょ……忠告はしたから、行かないでね」



 もちろん、松明さんと話せたのは嬉しくとも男子3人が計画を変更することもなく。この日の夜に神社の入り口で集合することになった。

 

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