最終回 『結末』
afterstory
――逃げられない運命だった。彼女から逃げることなんて出来なかった。否、逃げるつもりなんてなかった。
俺は彼女のことが好きだったから。
だから、彼女が俺以外の男と結ばれる未来なんて……想像すらしたくないし、許せない。
「天野くん、好きよ」
「俺も好きだよ」
この関係が壊れてしまうのが怖いと感じていた。でも、彼女は俺の側に居続けてくれた。俺と一緒にいてくれた。それが嬉しかった。彼女のことが好きだったからこそ、俺は彼女と付き合ったのだから。
これは〝依存〟なのかもしれない。
でも、それでもいいと思った。
彼女が俺を必要としてくれるのなら、それでいいと思った。
そして――。
「天野くん、ずっと心待ちしていたの。貴方が私のものになることを」
彼女の手には婚約届を握られている。そこには既に彼女の名前と俺の名前と印鑑が押されている。これを市役所に提出すれば、晴れて俺と彼女は夫婦になるし。
「……この婚約届を提出したら私達二人で幸せになれるわよね?」
「ああ、そうだね」
いろいろとあった。でも、これでようやく幸せになれる。
俺は彼女のことを愛しているし、彼女も俺のことを愛してくれている。
こんな陰キャにこんな美少女が振り向いてくれるなんて思わなかったけど、だからこそ、俺は彼女を大切にしたいと思う。
だって香澄を逃したらきっと俺には次はないから。恐らく……否、間違いなく、ずっと独身のまま人生を終えるだろう。だから、俺は彼女と幸せになりたい。
もう……逃げることなんて出来ない。
だから、俺は覚悟を決めた。
これは運命だ。
そして、俺が彼女から逃げることは許されない。
だって、彼女は俺の全てだから。
もう……逃げられない。
とゆうか、逃げることなんて絶対に出来ない。だって彼女と俺は身も心も一つになってしまったのだから。あの初恋も、忘れて、彼女は俺だけのものになった。
これは洗脳?否、違う。
俺は彼女のことを愛しているし、彼女も俺のことを愛しているから。だからこれは〝依存〟なんかじゃない。
俺と彼女は愛し合っているんだ。
そして……これからも永遠に愛し合うのだろう。
「私、天野くんのことが大好きよ。だから、ずっと私と一緒にいてね。とゆうか、逃げたら許さないけど」
綺麗な笑顔。
でも、その笑顔の裏には狂気が潜んでいる。前なら怖かったけど、今はもう怖くない。だって、俺は彼女のことを愛していて、彼女も俺のことを愛してくれているから。
あの中村洋介に恋していたことも忘れて。だから、俺はもう迷わない。
もう逃げない。
彼女から逃げるなんて……絶対に許されないから。俺と香澄は見えない鎖で繋がれている。
それはきっと、永遠に解けることのない鎖なのだろう。
俺は彼女のことを愛していて、彼女も俺のことを愛しているから。
だから、俺は彼女と一緒に幸せになりたいし、彼女以外の女の子なんて眼中にない。
だって……俺の全ては彼女なのだから。
もう……逃げられない。
これはハッピーエンドなんだ。誰になんと言われようとも、これはハッピーエンドなんだ。
そして、俺はこれからも彼女と一緒に幸せになるのだろう。
俺と彼女はもう運命共同体なのだから。
(完)
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