第12話 『三嶋香澄の話 〜後編〜』

あの後。わざと出席日数を取らないようにしたりとして留年した。ここは中学でも留年出来るのよねえ。その代わり、翡翠高に行くという絶対条件なんだけども。



でも、天野くんと一緒の学年になれることが私にとっての重要だから。だから良かった。例え、周りからバカにされようとも。



そして私は天野くんと付き合うことに成功した。

過程はめちゃくちゃ強引。でも、天野くんが別の女の子に恋しているのは何となくわかったから。それが嫌だったから繋ぎ止めた。



恋しているかなんて……彼の目を見ていたらすぐに分かるの。でもね?過ごしている内に分かってきた。



「(ああ……天野くんは……あの〝女の子〟が好きじゃなくって……)」



過ごしていく内に、分かってきたこと。付き合ってから知ったこと。

天野くんは、〝あの子〟に恋しているわけじゃなかった。〝あの子〟の隣にいる男の子を愛おしそうに見つめていた。



きっと本人も無自覚。彼は自分が誰が好きなのか自覚していない。だから自覚なんてさせない。私が天野くんの隣にいるの。天野くんが私の隣にいて欲しい。この人に〝好き〟になってもらいたいってそう思えた人だから。



「君のせいだよ」



……私は天野くんに依存している。

天野くんは、私がいないと生きていけない。

私は、天野くんが好き。だからもう……離さない。

私は……天野くんに依存している。



そんなこと、とっくに気付いていた。だって、もう、彼がいないと生きていけないから。



「君のせいだよ」



彼に触れられるとドキドキする。

彼に見つめられると心臓がバクバクする。

彼に頭を撫でられるのが好き。

彼に褒められると嬉しくなる。

彼に抱きしめられるのが好きだ。



つまり、全部好きだ。全部、天野くんのせいだ。

天野くんが私をおかしくしたから。

だから……責任取ってよ。

私と一緒にいてよ。ずっと、ずっと……一緒にいてよ。

私はもう、天野くん無しでは生きていけない身体になってしまった。



天野くんは……私のモノだ。

私以外の女には渡さない。もちろん、男にもだ。そして私の身体は天野くんに全てを捧ぐ。誰に何を言われようとも、私は天野くんだけしか愛さない。



だから、もう……私を置いていかないで。

私を一人にしないで。

私の側にいて。

私と一緒に生きて。

天野くん、私は貴方が好きよ。大好きよ。



「結婚式、楽しみだね」



結婚式はもう決定事項。天野くんが私のモノになる日がすぐそこまで迫っている。彼は引き攣った笑みで、頷いていた。私は、天野くんの全てが欲しい。

天野くんが私以外の女と結ばれる未来なんていらない。

だから……壊してしまおう。

天野くんを壊した責任は私が取るから。

安心してね?天野くん。



ずっと、ずーっと一緒にいようね? もう、絶対に離さないからね。

私はもう……貴方しか愛せないのだから!

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