第42話


病院から出て、自宅に到着した俺は、お風呂に入って晩ご飯を食べた。


気がつくと時刻はすでに二十二時を回っている。


「あ、そうだ。亮太たちに報告しておかないと」


両親とえりこさんにはすぐに連絡を入れたが、亮太と新村さんにはまだ何も言っていなかった。


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亮太とのトーク


空「夜遅くにごめん。まなの目が覚めたからその報告」

 「お見舞い来てくれてありがとうってまなも言ってた」

 「新村さんにも言うべきだとは思うんだけど、時間的にあれだから、亮太から言っておいて」


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連絡をしてから一分も経たないうちに、亮太から電話がかかってきた。


「もしもし」


『良かった!!! やっと目が覚めたんだな!!!』


スピーカーから耳を離したくなるような大声だ。


「ちょ、うるさいって」


『あ、ごめん、つい。空のあの顔を見てたから、嬉しくてつい』


「まあ、その、心配してくれてありがとな」


『はー? そんなの当たり前なんだよ。親友なんだから』


やばい、やっぱり俺はいい友をもったな。本人には絶対に言わないけど。


『それじゃあお前は明日来るのか?』


「あ、それなんだけどさ、まなも明日行きたいって言ってて、一緒に行こうって言っちゃたんだけどさ。この一週間休んで、準備もやりきれなかったのに参加していいのかな」


『そんなの参加して悪いわけないだろ? もしそれで文句言うやつがいたら、俺がそいつをぶん殴ってやる。だから気にすんな。俺はそれよりも病み上がりで一日体力が持つかのほうが心配だ』


「その時は先生に言って早退するさ。先生は事情も知ってるし許可してくれるはずだ」


『そっか。それなら大丈夫だな。明日は二日目だからステージ発表じゃなくて教室を回る感じだし、いつでも抜けられるし』


「話変わるけどさ、教室の奴らは俺らのことなんにも言ってなかったか?」


『ん~そうだな。殆どはなんにもないな、心配してる奴らばっかりではあった。準備期間お前らは二人で頑張ってたしな。でも、一部の奴ら、多分勝手にお前のことを恨んでる男子共だな。あいつらは裏で、どうせ夜通しヤッてたんだろ、とか言ってたな。三日目ぐらいになるともう黙ってたけど』


「そうか。みんなには申し訳ないことをしたな」


『お前が謝ることなんてないだろ。お前もまなさんもな。二人とも学校を休むに値する理由もあって、それは仕方がないことなんだから』


「・・・・・・。そうだな、ありがとう」


『おう。それじゃあまた明日な。あ、どうせなら最後の準備だけでも一緒にやるか? 人手は多いほうがいいからな』


「そうするよ、まなにも伝えておく。それじゃあまたな」


『ういー』


亮太との電話を切り、俺はベランダに出て夜風に当たることにした。


この一週間を俺はとてつもなく長く、それこそ永遠なんじゃないかと感じていた。


俺にとってまながどれほど大切な存在なのかを再確認し、どうして両親の話になったときに止めようとしなかったのかと後悔をする、そんな一週間だったな。


でも、結果論かもしれないけど今では、あそこでまなのことを止めなくてよかったと思う自分もいる。


あそこで止めても結局いつかはこうなっていた気がするし、まなは今日、目を覚ましてくれて、新しい目標も見つけて元気になってくれた。


だからこれで良かった、と思っているんだ。


いや、もうこのことを考えるのはやめよう。


まなが目を覚ました、それだけで今は十分だ。それにこんなことを考え始めたら俺は止まれないからな。


今日はもう寝ることにするか。


俺は室内に戻って電気を消し、ベッドに潜った。


明日が楽しみで仕方がない。


とりあえず明日、学校についたらまずみんなに謝ろう。

そして、その場でできるだけ仕事をして、その後はまなと学校祭を楽しむんだ。


そのために今日はもう寝る。


まな、目を覚ましてくれてありがとう、おやすみ。

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