第32話 夜の集い3

 杜若雫は失言を誤魔化す為、話を進めることにする。


「それにしても、彼に何があったのだろうね。

 急に女性を意識するキッカケがある筈なんだけどなぁ。

 そういえば、皆さんは何がキッカケで女性に興味を持ったりしたの?」


『エロ本!』

『母親』

『妹』

『デラべっぴん!』

『いや、それエロ本。』

『11PM』

『自然に‥』

『ドラマのエロシーン!』

『姉』

『従妹』

『叔母』

『姉ちゃん』

『姉』

『姉貴』


 リスナーからのコメントは続く。


*    *    *    *


「もしかして、私に意識したとか?」


「‥‥‥多分、違うと思うぞ。

 あるとしたら茜かもしれない。」


「晶は早かったのに‥。

 双子って面白いわね。」


*    *    *    *


「あっ、ちなみにいたぐらいに興味もった?」


『幼稚園!

 保母さんの太ももを見て‥。』

『はや!!』

『小学校高学年』

『中学!』

『中学!』

『今だに興味ないです!』

『嘘つけ!』

『中坊!』


 リスナーの意見は中学生の時が大半であった。


「なるほど‥

 じゃあ、高校生は遅い方だね。」


 また雫は失言する。


『あっ』

『またか』

『あっ』

『もうわざとじゃねぇ?』

『草』

『草』

『草』

『草』

『w』

『マネージャーからメールくるよ。』


「うっ、本当にマネージャーからメールきた‥。

 ごめんなさい。

 皆んな、冗談だからね。」


 今から誰も信じないような嘘をつく。


『オッケー!』

『ドンマイ』

『ドンとマイン』

『気にすんな』

『ほれ、次』

『ハイ、忘れた。』


 雫の失言に慣れた古参達は特に騒いだりはしなかった。


「そういえば、先生って意見なかったわね。

 皆んな先生に憧れたりしなかったの?」


 雫は教師としてどうしても知りたかった。


『男の教師です。』

『ババァです。』

『同じです。』

『守備範囲外です。』

『年下にしか興味ないです。』

『優しくなかったから‥。』


 リスナーからの反応はあまり芳しくなかった。


*    *    *    *


 配信後にすぐにマネージャーから電話がかかってくる。


「ごめんなさい。」


 開口一番、謝る。


「今日のはちょっと酷くないですか?」


「ごめんなさい。」


「ちゃんと反省して下さいね。

 また炎上して困るのは貴女でしょ?」


 ここ数回、失言が続いたのでマネージャーの怒りはすぐにはおさまらなかったのであった。

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