第29話 夕食
朝日奈晶です。
今日は父親が珍しく早く帰って来たので、一家全員で夕食をとっています。
久しぶりに全員揃っての食事なので母は機嫌が良く、いつもよりオカズが多い気がします。そんな楽しい夕食ですが、姉貴と弟の様子が少し変なのです。
弟はここ数日元気がなく顔色も悪かったのですが、学校から帰ってくると今朝見た時より嘘のように回復しているのです。
WHY?なぜ?
学校で何があったの?
俺の知っている学校は疲れを癒す効果はないはずだが‥。
さらに姉貴はその上をいくのです。
身内が言うのも変ですが、姉貴は完璧な女性です。
美人で頭も良く、スタイルも良い。
人望もあって我が姉ながら惚れ惚れするような良い女です。
その良い女が、目の前でヘラヘラするのです。
* * * *
「お母さん、ビールとってくれ!」
父がいつものようにビールを母に要求する。
「何がいいの?」
母もいつものセリフを口にする。
「う〜ん、今日は少し贅沢したいから発泡酒じゃなくて、一番搾◯が良いかな。」
父が普通の言葉をかえすと‥
姉貴の顔がヘラヘラした顔になるのです。
「一番◯り‥
正の‥。」
姉貴のこんな顔は初めて見ます。
正直、ショックです。
この顔もある程度すると元の美人の顔に戻ります。
でも、今度は正と目線が合うと二ヘラ顔になります。
全く意味がわからない。
ただ、正の兄として何か嫌な予感がするのでした。
* * * *
夫婦の寝室で夫が珍しくタブレットで何かを見ています。
ちょっと気になったのでタブレットを覗くことにしました。
すると何やらアニメの女性キャラが楽しそうに喋っていました。
「YouTube見るなんて珍しいね。」
画面に集中する夫に話しかけます。
「それが会社の後輩から面白いって勧められたから見たんだけど、面白くて‥
ちょっとハマったかも。」
いつもはバカにするYouTubeに夫がハマるとは驚きだった。
さらに驚きだったのは画面に映るキャラの横にあるコメント欄だ。
読み取るのが難しい程、早くスクロールしている。
そんなに人気なのかしら‥。
私はこの配信に興味がわいたので、夫と共に配信を見るのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます