第22話 高橋 美羽1

高橋美羽、18歳。

朝日奈茜のクラスメイトである。


若葉高校3年3組。


学年一位と目される朝日奈茜の次に美しいと言われている高橋美羽。スタイルでも学力でも朝日奈茜の次である事から、ついた二つ名は『二番目の女』。

本来であればライバルになりそうな関係だが、この2人は小学生からの親友であった。

高橋美羽は朝日奈茜が大好きだったので、二番目と言われても何とも思わないのだ。


そんな仲の良い2人はいつものように美術部の部室でお昼ご飯を食べていた。


「ねぇ、最近弟くんの様子おかしくない?」


朝日奈茜に弟の話をするにはかなり勇気が必要だが、ここはあえて尋ねてみる。


朝日奈茜は弟の単語一つで空気を一変させた。


「おかしいとは?」


ビンゴ!!


朝日奈茜とは長い付き合いなので、その回答をもって弟の様子が変わった事情に茜が関わっている事を悟った。


「女の子に興味を持ち始めたよね?」


高橋美羽はストレートに切り込む。


「‥‥‥‥。」


朝日奈茜が黙秘した。


ピーン!!

高橋美羽は確信する。

愛する弟が変化した事に朝日奈茜が直接関わっている事を‥。


「何かした?」


正直、とんでも無い事を言いそうで聞くのが怖いが親友として尋ねなければいけなかった。


朝日奈茜が真剣な表情で私の目を凝視する。


「誰にも言わない?」


「絶対に言わない。

 例え世界中の人間が貴女の敵になっても私はずっと貴女の味方よ。」


高橋美羽の揺るがない気持ちである。


私の答えに朝日奈茜は一瞬笑顔を見せると、重い口を開いた。


「正には返しきれないほどの恩があるの。

その恩を一部返そうと思って‥。」


朝日奈茜がはにかむ。


その表情を見て、高橋美羽の心拍が上がる。

何だろう‥これ以上聞かない方がいいと本能が警告している。


でも、そもそも私が尋ねたのだ。

最後まで聞く義務がある。


高橋美羽は唾を飲み込むと朝日奈茜の言葉を待った。


「この身を捧げる為、正に女性を意識するように仕向けたの‥。」


高橋美羽の脳内が混乱する。


この身を捧げるとは??

本で読んだことあるが、その言い回しは生け贄が発する言葉のような‥。

どう捧げるのだ?


女性を意識するように仕向けた??

何をどうやれば、あの弟くんを変える事が出来るのだ?


美羽!聞いちゃダメだ!

これ以上は聞かない方がいい!


本能と感が警告してくる。


「どうやって、意識するように仕向けたの?」


私は核心に迫る。


「正に私の全裸をわざと見せたのよ。」


真顔の親友がとんでもない事をぶっ込んでくるのであった。

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