第22話 夜中の喧騒(22、賑わい)
夜中。不意に目が覚めた。と言っても目はまだ閉じてて、意識だけ起きた感じ。ざわざわと、大勢の人が話す声が耳元で聞こえる。何か話しているけど、内容が分からない。かなり不快。
「連れていこうか」
「いや……が……邪魔だから」
不穏な単語が端々から聞こえる。声が重なり大きくなり、喧しくなってきた。それに、何か乗ってるみたいな重さも感じ始める。苦しい。私は何とか起き上がった。
「うるさい!他所へ行って!」
しん、と部屋が静まりかえった。何の気配も声ももう無い。
「菫?」
少し掠れたような声に、血の気が引いた。そうだ、ここ、晃さんの部屋だ。泊まってるの忘れてた。隣で寝てる晃さんを見ると、不思議そうな顔で私を見上げている。
「どうした?」
「あ……えと、」
説明すると、晃さんは愉快そうに笑い出した。恥ずかしくて俯く。
「起こしてすみません……」
「そんなことで怒らねぇよ。菫、こっち来い」
身体を起こした晃さんに手を引かれ、彼の腕の中に収まる。そのまま身体を倒されて、一緒に布団に入った。
「また来たら、まずは俺を起こせ。こうしたら起こしやすいだろ」
後頭部を包むように回された手が、優しく私を撫でてくれる。
「ありがとうございます」
「とんだ災難だったな。寝ろ寝ろ」
暖かい手に励まされて、私はまた目を閉じる。今度は朝まで眠れそうだ。
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